第1党に躍進するはずが・・・フランス総選挙で予想外の展開「極右政党が急失速」 いったい何が起こったのか?
■イギリスでは14年ぶりの政権交代 欧州では、イギリスの総選挙が7月4日に行われ、中道左派の労働党が大勝。14年ぶりの政権交代となった。スターマー新首相と労働党支持者たちは勝利に酔いしれているようだが、「かつての福祉優先の政策は打ち出せないのでは?」という疑問がある。 というのも、政治が経済優先になった現代、保守も労働党も選択肢は多くはないからだ。「小さな政府」を追求するはずの保守党政権下で、国民の租税負担率(対GDP比)は1940年代以降で最高となっている。
また、労働党だから左傾化とはいえない現実がある。スターマー氏は1997年に18年続いた保守党政権から政権奪取して首相となった労働党のトニー・ブレア氏ほど、圧倒的人気を得た期待の星とは見られていない。 今回の労働党の圧勝は、EU離脱、スコットランド独立運動、テロの脅威やウクライナ紛争を含むロシアとの緊張、コロナ禍などイギリスを取り巻く厳しい状況を経験した14年間の保守党政権の末にもたらされた。 特にブレグジットはデメリットを上回るメリットがいまだ見えない中、イギリスの主要メディアは、「イギリス人はブレグジットの是非を総選挙の争点にしたくなかった」と指摘する。
結果的にブレグジットに反対だった労働党が、ブレグジットの残した負の遺産を皮肉にも受け継ぐ結果になっている。コービン前党首時代の労働党は古臭いイメージの社会主義と党内に浮上した反ユダヤ主義グループが問題視され、スターマー氏はその払拭に努め、労働党は信頼を回復した。 今回の選挙戦で、労働党は減税に言及しなかった。すでにスナク前政権下で実施していたからだ。それに、国防費の対GDP比率を現在の2.3%から2.5%に引き上げるという保守党政権と同じ政策を継承した。ウクライナ支援の堅持、党内に慎重派がいるにもかかわらず、イスラエル・ハマス戦争でイスラエル支援継続を明確に打ち出した。