ファインズが中国ラモンの鉄スクラップ検収AI機能拡張。配合と炉内用のカメラ追加、12月末から提供
鉄鋼メーカー向けに資材・システムの販売を手掛けるファインズ(本社・東京都中央区、社長・文成彬氏)は、中国・Ramon(ラモン、本社・湖南省)製の鉄スクラップ検収AI(人工知能)システムに製鋼操業向けの拡張機能を追加する。新たにリリースしたのは、スクラップ配合向けの新型カメラと、電気炉向けの炉内カメラの二つ。日本市場に12月末から提供することが決まった。 AI分析の配合への応用は昨年から日本の顧客とともに実証実験を行ってきた。これを踏まえ、配合用の新型カメラには防振機能と光学ズームに優れたモデルを導入することが決定した。 スクラップバケットは縦に細長く、深さがあり、埃がこもりやすい環境となっている。このため、天井クレーンによるスクラップ投入時の写真撮影では、角度とタイミングの確保が課題だったが、こうした作業環境に最も適した高性能耐震カメラを12月中に1件、取り付けを行う予定。配合用カメラの導入に合わせアプリケーション画面には使用したスクラップの種類に応じてCO2排出量、消費電力の試算値の表示機能も追加した。今後は配合比率の相関分析と最適化提案ができるよう機能を強化する。 電気炉の炉内カメラは現在、一部の国と地域ですでに展開しており、電気炉でのスクラップ溶け落ち判断などに活用されている。ファインズでは日本の顧客からカメラ単体機能の先行販売が熱望され、12月中から日本市場向けに提供をすることを決めた。 スクラップAI分析機能では溶解工程への応用が注目されている。これまではベテランの長年の経験を基に溶け落ちが判断されてきたが、炉内を可視化することにより溶解工程をリアルタイムで監視。チャージごとに数分単位の消費電力削減が見込める。 ファインズはラモン社製システムの日本での販売代理店。ラモン社の鉄スクラップ検収AIシステムは2022年に千代田鋼鉄工業(東京都足立区)が導入したほか、中部鋼鈑(名古屋市)では今年末に稼働の予定。東京製鉄岡山工場(岡山県倉敷市)も試験導入している。