国内初の取り組み・火力発電所跡を資源循環の拠点に サーキュラーパーク九州 鹿児島・薩摩川内市
鹿児島テレビ
こちらの建物、2022年廃止された、鹿児島県薩摩川内市の九州電力川内火力発電所です。 40年以上にわたり電気を作り続けましたが、この発電所跡を活用し、リサイクルや再資源化研究の拠点とする国内初の取り組みが、2024年4月にスタートしました。 一体どんなプロジェクトが進められているのか、薩摩川内支局・牧瀬記者の取材です。 2022年に廃止された、薩摩川内市の九州電力川内火力発電所跡地です。 現在、施設ではかつて発電に使用されていた設備の解体作業が進められていて、シンボルの大きな煙突も2025年の春には姿を消します。 この約32ヘクタールの土地を活用し、九州電力と関東のリサイクル事業者が主体となって、2024年4月にスタートさせたのが「サーキュラーパーク九州」です。 施設の名前となっている「サーキュラー」。 循環という意味で、2030年度の完全操業を目標に、廃棄物をリサイクルしたり、資源を循環させる研究拠点を目指しています。 薩摩川内支局・牧瀬大輔記者 「こちらの建屋内では、運ばれてきた廃棄物を再資源化するため、細かい分別作業が行われています」 工場では現在、鹿児島県内の企業十数社と契約を結び、産業廃棄物を受け入れていて、 取材したこの日は警備会社から廃棄物が運び込まれていました。 一口に廃棄物と言っても、その中身は様々。 金属やプラスチックを分類し、資源として取引ができるように人の手で丁寧に分別が行われます。 サーキュラーパーク九州 リソーシング事業部・中台明夫部長 「いろいろ入っていますね。金属とかプラスチックで分けてもらうと、分ける作業が無くなるので、お客様と相談し、資源化に結びつくようにできればと思う」 サーキュラーパーク九州・春木優CEO 「細かな作業をしていかないとここまでの素材回収はできない。我々が地道な作業をしっかりやった上で、事業につなげるのが大切だと思っている」 一方、廃棄物の中には、素材としては再利用できないプラスチックや木くずもあります。 それらを活用するために使われるのがこの専用プラント。 できあがったのは「RPF」と呼ばれる固形燃料で、石炭に代わる燃料として県外の製紙工場に出荷されています。 こうした技術により「サーキュラーパーク九州」が実現させた再資源化率は99パーセント。業界最高水準です。 九州電力とタッグを組むリサイクル事業者が、80年間培ってきたノウハウが駆使されています。 ナカダイホールディングス・中台澄之代表取締役 「日本の資源循環のビジネスであるとか、リサイクル業界の新しい流れを作りたい」 さらに、この施設は地元との関係を重要視していて、その技術を地域に定着させるため、操業に合わせ、薩摩川内市の高校を卒業した新入社員3人を採用しました。 新入社員(薩摩川内市出身) 「ごみの捨て方であったりとか、いろいろ問題になっていたりするので、そういうことに関われる仕事ということで興味を持って、ここに入社しました」 新入社員(薩摩川内市出身) 「新しい企業と聞いて、チャレンジしたい気持ちがあって志望しました。リサイクルの先駆けとして先陣を切れる様な企業にしたいと思っています」 廃棄物を資源としてよみがえらせ、その循環を目的にスタートしたばかりの「サーキュラーパーク九州」。 今後、火力発電所の中心部であったタービン建屋の跡には、再資源化の研究や知識を広める図書館などを建設する構想がねられています。 サーキュラーパーク九州・春木優CEO 「我々の今回の事業は資源循環業という、新しい業種をつくっていく、新しい産業をつくっていくという思いがあるので、我々のこの取り組みを理解してもらえるような取り組みを進めながら、この場所をつくっていきたい」 火力発電所の跡地から資源の循環を目指す国内初の取り組み。 脱炭素化や持続可能な社会を目指し、今後どう発展していくのか注目されます。
鹿児島テレビ