「え、知らなかった…」『ドラゴンボール』に革命を起こした「舞空術」にまつわる豆知識
■悟空は舞空術が苦手?
悟空が作中で初めて舞空術を使ったのは、第23回天下一武道会の決勝。先に使ったクリリンに触発されアドリブで試したのか、神様との修行ですでに身につけていたのかは分からないが、最後のとっておきとしてピッコロに体当たりするために舞空術を使った。そんな悟空だが、実は舞空術を苦手としているかもしれない。 その根拠に、息子・悟飯が兄・ラディッツにさらわれた際、悟空はすでに舞空術を習得しているのにもかかわらず筋斗雲を使って移動していた。このとき、一緒に向かったピッコロには「オレさまのは きさまのようななさけない舞空術とはちがうんだ」と煽られてしまっている。 さらに、あの世で界王星につながる“蛇の道”を行く際も、悟空はスタートダッシュこそ舞空術を使っていたが、すぐに体力を使い果たし走りに切り替える姿があった。 そして帰りの蛇の道を急ぐときこそ舞空術を使った悟空だが、それでもこの世に戻ってきた途端、筋斗雲に乗り換えていた。カリン様から仙豆ももらっているし、何と言っても仲間たちがサイヤ人と戦っている最中だ。力の温存もあまり考えにくい。おそらく悟空は舞空術を使って自ら飛ぶよりも、筋斗雲のほうが早いと判断したのだろう。 そして悟空が舞空術を苦手とする極め付きの根拠は、ナメック星でのセリフだ。フリーザに「空中戦と地上戦… どっちがおとくいだ?」と問われ、悟空は「…どっちかっつうと 地上戦かな…」と答えている。そして2人はそのまま地上に降り、悟空は「サービスいいな…」と言って、しばらく地上戦を繰り広げていた。 以上、これらの描写やセリフから、悟空は少なくともナメック星の戦いまでは舞空術を苦手としていたのは確実だろう。もっとも悟空の言う“苦手”とは、ドジャースの大谷翔平選手が「バッティングが得意で、ピッチングが苦手」と言っているようなものかもしれないが……。
■舞空術とは別の原理で飛ぶ者たち
最後は『ドラゴンボール』の世界で、舞空術とは違った原理で飛んでいる者たちも紹介しよう。 1つ目はフリーザ一味など宇宙人たち。地球人やナメック星人など気をコントロールする種族のほうが宇宙ではレアで、宇宙人の多くは気のコントロールができない。そのため、舞空術とは根本的に違う原理か、少なくとも違う意識で空を飛んでいると考えられる。 次に人造人間たちだ。メカタイプである16号、19号、20号は、体内に埋め込まれた反重力装置によって飛行している。 17号、18号は生身の人間をベースにしているため微妙なところであるが、普通に考えればほかの人造人間と同様、反重力装置を使って飛んでいると考えたほうが自然だろう。 原作者である鳥山さんの考案した公式設定では、17号、18号は修行して強くなることも可能とされているため、ベースである人間の体を利用すれば舞空術の習得も可能かもしれない。 逆に、ドクター・ゲロが生み出した人造人間の完成形であるセルは舞空術で空を飛んでいる。セルはほかの人造人間と違いバイオテクノロジーによって生み出された人造人間であり、気をコントロールして戦っているからだ。体が粉々になっても復活後に難なく飛べているのは、反重力装置ではなく舞空術で飛んでいるおかげだろう。 そして、なかには原理不明で飛んでいるおかしなヤツもいる。それは古参キャラであるプーアルだ。プーアルは初登場時からヤムチャの横で当たり前のように宙に浮いていた。 さらに、フリーザ親子を倒したトランクスに「これから孫悟空さんを出むかえに行きます!! いっしょに行きませんかー!!」と誘われた際も(もちろん全速力ではないものの)ほかのZ戦士と同じ速度で空を飛んでいる。どんな原理で飛んでいるかはまったくの不明だが、空を飛ぶことに長けているのは間違いないだろう。 今回は『ドラゴンボール』に登場する「舞空術」にまつわる豆知識を紹介してきた。舞空術は作品に大革命を起こし、悟空青年期以降のダイナミックなバトルを象徴する技となった。 そして繰り返しになるが、作中で当たり前になり過ぎている舞空術はもとは鶴仙流の奥義だ。鶴仙人は本当に嫌なヤツだったが、舞空術を編み出したという功績はただただ素晴らしいとしか言いようがない。
海狸こう平