京アニ放火殺人事件の被害者遺族が講演 支援の重要性訴える 高松市
KSB瀬戸内海放送
36人の命が奪われた「京都アニメーション放火殺人事件」の被害者遺族が高松市で講演し、犯罪被害者遺族への支援の重要性を訴えました。 【写真】36人が亡くなった「京都アニメーション 放火殺人事件」
香川県の「犯罪被害を考える週間」に合わせて開かれた講演会には約170人が参加しました。 「京都アニメーション 放火殺人事件」は2019年7月、京都市のアニメ制作会社のスタジオが放火され従業員ら36人が亡くなりました。 事件で犠牲となった渡邊美希子さん(当時35歳)の母親・達子さんと兄・勇さんが当時のことを語りました。 (犠牲になった美希子さんの母/渡邊達子さん) 「(ニュースを見て)これはあの子が仕事している第1スタジオで、あの子はそこにいたかもしれないと思いました。自分よりも先に子どもがいなくなるというのは想像よりもすごくきつかったです」 (犠牲になった美希子さんの兄/渡邊勇さん) 「ここは(自分が)崩れたらだめだと思った。正常でいなければならない、凛としていかなければならないと思いました」 兄の勇さんは事件当初、自分が家族を支えなければという思いからカウンセリングも断っていたといいます。 二人は「犯罪被害者遺族の苦しみには終わりがない」とする一方で、自分たちが遺族の実情を話すことで理解が少しずつ広がっている手応えを感じると語りました。 ■被害者支援条例 岡山は全市町村で、香川はゼロ 「犯罪被害者の支援は国と地方自治体の責務」と明記された「犯罪被害者基本法」が成立して12月1日で20年です。 岡山県は2011年に「犯罪被害者等支援条例」を施行しました。 岡山県内27の全市町村でも2012年までに条例が制定され、17の自治体では県とは別に犯罪被害者や遺族などを経済的に支援する給付金も支給されています。 一方、香川県は2021年4月に犯罪被害者を支援する条例を施行しました。しかし、香川県内の市と町で条例を定めている所はありません。 高松市は2025年度から条例を施行する方針で、最大50万円を給付する支援制度もつくるとしています。 また観音寺市と善通寺市、三豊市が2025年度の条例制定に向けて準備を進めているということです。 「京都アニメーション 放火殺人事件」で妹が犠牲になった渡邊勇さんは、被害者などへの支援制度が広がるために支援団体と自治体との連携が欠かせないと話します。 (犠牲になった美希子さんの兄/渡邊勇さん) 「定期的な支援室さんとのコミュニケーションであったり、情報共有とそれを議論する場があるかどうかだと思う」
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