「ホームから線路に転落」視覚障がい者の3割以上経験 人の優しさは“白い杖”の代わりになれる?【広島発】
“人の優しさ”が杖の代わりに
仲前さんは光を失う前、IT関係の仕事をしていた。今は広島市中区の視覚障害者情報センターで、スマートフォンやパソコンの使い方を目の見えない人に教えるスタッフをまとめている。 「利用者がどういうことを教えてもらいたいか、行動計画を立てたり、ボランティアさんの派遣の調整をしています。全盲で目が見えないと事務やデスクワークの仕事はなかなかないので、こういう仕事につけるというのはやりがいがあるなと思っています」 一緒に仕事をする広島市視覚障害者福祉協会・保田かおりさんは「パソコンやiPhoneにとても詳しいので、助けてもらいながら、教えていただきながらやっています」と仲前さんの働きを評価。通勤に不安はあっても、この仕事は仲前さんの生きがいなのだ。 前を向いて歩く視覚障がい者を支えているのは白い杖だけではない。行く先々で出会う見ず知らずの人に助けられることもある。 「けっこうみなさんが声をかけてくれるので、助かっています。見えていたときは人の優しさを感じていなかったところもあるけど、見えなくなったら人は優しいなという気持ちになれる」 休日、友人と会うため仲前さんは駅のホームに立っていた。 「行ってきます!」 そう言って、笑顔で電車に乗り込んだ。行きたい場所へ自由に移動するーー私たちにとって当たり前なことに不安を抱える人がいる。障がいがある人もない人も、安心して暮らせる社会とは何なのか。誰もが、ほんの少しだけ「白い杖」の代わりになることはできるかもしれない。 (テレビ新広島)
テレビ新広島