外信コラム トランプ氏への賛否で質問攻めに遭う 不満くみ取る能力には感嘆するけれど… ポトマック通信
1月20日、第47代米大統領に共和党のトランプ氏が就任し、民主党のバイデン政権から大きな政策転換が図られる。 記者は昨年11月の大統領選後、何人もの米国人から「トランプ氏が大統領になることをどう思う」との質問を受けた。共和党支持者は「賛同」を、民主党支持者は「反対」を求めるような問いかけだった。 記者が「米市民の選択であり、その選択を尊重する」と官僚的な答弁で賛否を避けると、うなずきながらそれぞれの思いを吐露していた。 ある共和党支持者は、トランプ氏が有権者の社会や政治に対する不満を巧みにくみ取り、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで有権者の留飲を下げてきたと解説していた。有権者に響く問題や言葉を見つけ出すその嗅覚には記者も感嘆する。 不法移民や貿易赤字で米国が被害を受けているとしてメキシコやカナダ、中国などを激しく非難する姿勢に支持者は共鳴し、トランプ氏のリーダーシップと「強い米国」を重ねている。 ただ、有権者の不満を意識した「米国第一」主義は、同盟国や友好国との摩擦も引き起こしかねない。「米国第一」主義と国際協調のバランスをどのようにとっていくのか。支持率や世論の動きを見極めてトランプ氏の動きを予測する必要がありそうだ。(坂本一之「ポトマック通信」)