年収300万円でも支出は600万円超!「生活のダウンサイジング」ができない“アラ還女子”の末路はいかに
■ ファイナンシャルプランナーのアドバイスは… FPの提案書には、「旅行の回数を半分に減らしましょう」「普通預金に置いているお金で、新NISA(少額投資非課税制度)を使ってインデックスファンドに積立投資をしましょう」といったアドバイスが箇条書きにされていた。しかし、彼女の心には全く響いていないようだ。 「普通預金に何百万円も寝かせておくのはもったいないって言われたけれど、大事な旅行資金だからムリ!」。そもそも、彼女の生き方を修正すること自体が「ムリ!」なのだ。 別のアラ還女子には、「今日支払われるはずのバイト代が振り込まれていない。バイト先に問い合わせても『経理の担当者が不在なので分からない』と言われた。これって下請法違反じゃないですか」と泣きつかれたことがある。 彼女もまた、独特のマネー感覚の持ち主だ。 ■ なぜかサッカーJ1のホーム都市に詳しい理由 自営業のご主人と二人暮らしで、複数のアルバイトを掛け持ちする。家計管理はご主人に任せ、「働くのは自分へのご褒美に使うため」と豪語。エステのコースに通い、お気に入りのブランドの服をシーズンごとに買い替えている。 サッカーJリーグの某チームの熱心なサポーターでもあり、毎週のようにスタジアムに足を運ぶ。遠征先ではグルメや観光を楽しむのもお約束で、J1チームのホームの都市にはめっぽう詳しい。 特筆すべきは、消費性向の極めて高いその生活が、綱渡りのようなやり繰りの上に成り立っていることだ。個々のバイトの報酬や振り込み予定日を全て頭に入れていて、それに合わせてカードで買い物をしたり、遠征先のホテルや食事のランクを調整したりしているという。 そんな彼女から前述の電話がかかってきたのは、ある金曜日の夕方のことだった。
■ 「90歳になってもバイトを続けたい」 彼女は翌土曜日に行われるひいきのチームのアウェーゲームに合わせて札幌に出かける予定だった。日曜日には小樽まで足を延ばして豪遊しようと計画していたが、軍資金が振り込まれず、食事代も払えないという窮地に追い込まれていたのだ。 最終的にはご主人に頭を下げて遠征費用を借りることで事なきを得たが、「お前の金銭感覚はおかしい」と罵倒されて大げんかになったらしい。それでも彼女のライフスタイルが変わることはなく、悪びれる様子もなく「90歳になってもバイトを続けたい」と話す。 もう一人の50代女性は、都心の敷地面積200坪の実家に暮らすシングルのお嬢様だ。とはいえ、勤務先の確定拠出年金(DC)は「1円たりとも減らしたくない」と元本確保型商品で運用し、服はもっぱらファストファッションと暮らしぶりは堅実そうに見える。 その彼女が常々「老後が心配」と口にするのを不思議に思っていたが、ある時一緒に出張に行く機会があり、謎が氷解した。当日宿泊したホテルのスーペリアルームは40m2 でまずまずの広さがあったのだが、滞在中に一言、「こういう部屋で寝泊まりするのはきつい」と漏らしたのだ。 物心ついた頃から実家住まいの彼女は、海外留学していた時代も含めて狭い家に暮らした経験がない。そのため、彼女いわく「住居に関しては“閉所恐怖症”の傾向があり」、できればずっと実家にいたいと考えている。しかし、都内の一等地にある実家は固定資産税や庭の手入れ費用、オール電化の電気代など結構な維持費がかかり、退職した後の家計運営に不安を覚えているとのことだった。