広島を24年ぶりVへ引っ張る新井 なぜこれほど絶好調?
快進撃を続けている広島の象徴が新井貴浩内野手(39)だ。目下打撃10傑で3位の打率.323、本塁打も5年ぶりに2桁に乗せた。打点も65あって、こちらはヤクルトの山田哲人に次いで2位。特に目につくのは得点圏打率の高さ。打率.394は、リーグでランキングトップという勝負強さである。 4月26日のヤクルト戦で、プロ17年目にして節目の通算2000安打を達成、記録達成後の燃え尽き症候群が心配されたが、新井の場合はそれを弾みに、逆に右肩上がりの好調が続いている。チームの後輩や、年上の黒田博樹にも、「新井さん」の愛称で呼ばれ愛されている、“新井さん”の好調理由を探ってみた。 まずは、新井自身を直撃すると、「体調、コンディションの良さ」を口にした。 「首や背筋など、ここ数年、体のどこかを痛めていて、なかなかベストの体調でプレーできなかったんですが、今年はそこがかなりよくなっています。一番の理由じゃないでしょうか」 実は、伏線は昨年のオフにあった。これまでも定期的に通い続けていた広島のトレーニングクラブ「アスリート」に、入団以来、最多の回数、足を運んだというのだ。 アスリートの平岡洋二代表は、こんな証言をする。 「昨年オフに、これまでアスリートに来はじめてから初めてというほど徹底してジムにきた。相当に思うところがあったのだろう。でも、その成果で39歳にしてパワーアップしているし、コンディションの維持につながっている。2桁本塁打に乗ったのも、このトレーニングと無関係ではない」 つい1週間ほど前にも新井がジムを訪れ、体のサイズ、各種の筋力測定などの数値測定をしたところ、驚くことに昨年末に測定したデータとほぼ変わらない数値をマークしたという。 「通常、シーズンに入ると、体重や筋量は落ちる。毎日、試合をするわけだし、その間フィジカルトレーニングを平行して行うことが、どうしても難しくなる。筋量が落ちれば、当然パワーもダウンするわけだが、今年の新井は、数値が変わっていなかった。オフのトレーニングの成果だし、シーズン中も継続している証拠。この数値を見る限り、最後まで新井の活躍は続くのではないか」 39歳にしてのパワーアップが、体調の維持と、何より技術を支えていたのだ。 今シーズンの新井は、配球で揺さぶられても前後に体が動くようなことが少なく、しっかりと右足の軸にのって、回転と、バットの前さばきで打てている。その安定したバッティング技術は、体の体幹が鍛えられているからこそ可能になっていたのである。