2人の軋轢はここから?「文学性の不一致」でまひろとききょうが分裂、宣孝様の「報告死」で妾のつらさも描写【光る君へ】
紫式部と清少納言、2人の軋轢はここから?
そんな宣孝殿の北の方と、どうも話が合いそうなのが、久々にまひろの元を訪ねてきた、清少納言ことききょうだ。まひろの提案でつづったエッセイで、定子の輝いていた姿だけを描写。そこで「影の部分が見たい」というまひろに対して、「皇后様に影などないし、あっても書かない!」とピシャリ。この「誰になにを言われても、推しのイメージは守る」という姿勢に、SNSではあっぱれという声が。 「影の部分など絶対に認めない強火過激派オタク清少納言」「『推し』に欠点なぞ無い。そのとおりでございます」「推しのマイナス面は書き残さないとか清少納言はオタクの鏡だな」「良いんだ、彼女は、『枕草子』はそれで良いんだ・・・!」「物語を編む小説家と、己の感性を書き記す随筆家の差」などの、共感の言葉が並んだ。 ただこの、描く対象に向かい合う姿勢と、道長に対する気持ちの食い違いが、2人の軋轢の原因になるのでは・・・という予感がした人も多かっただろう。紫式部は清少納言のことを、自分の日記で「偉そうだけど間違いが多い」「将来ろくなことにはならない」など、これでもかと言うほどディスりまくることになる。今までのまひろ&ききょうの関係からは、それが想像つかなかったが、どうやらここがそのスタートラインになるのかも。 SNSでも「まひろちゃんとききょうちゃんの作家としての方向性の違い。インスタグラマーとツイ廃民くらいデカい差がある」「推しの光の部分だけ描きたい清少納言と、闇も描いてこそ人間の奥深さが出るというまひろ、創作感の違いでサークルを解散するみたいな流れ」「これでまひろが左大臣(道長)の娘の元へ上がったら、まひろとの関係もこじれるでしょうねえ」と、2人の未来を案じる声が相次いだ。 物事の明るい面だけを見ることで救いを得る人もいれば、あえて闇を見ることで真理にたどり着こうとする人もいる。宣孝の死とききょうとのすれ違いは、まひろの作家としてのスタンスを無意識の内に決定づけたのではないだろうか。そして「娘のため」というモチベーションも重なって、ついに「物語」を作る気になったまひろ。それは果たして光る君の物語か? あるいはそのプロトタイプ的なものか? これは次週に注目だ。 なお今回で退場となった宣孝役の佐々木蔵之介は、主演舞台『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』が、8~9月に全国4都市で上演される。当時としては進歩的な考えを持った、異色の君主というキャラクターは、懐の深さが日本海溝レベルだった宣孝と、ちょっとかぶるところがありそうな気がするので、宣孝ロスに悩む人はぜひ足を運んでほしい。 ◇ 『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。8月4日放送の第30回『つながる言の葉』では、のちに「和泉式部」と呼ばれることになるあかね(泉里香)とまひろの出会いや、『枕草子』が宮中で流行することによって、道長が追い詰められていく姿が描かれる。 文/吉永美和子