風営法「ダンス規制」、何が問題になっているの?
5月26日、東京・六本木にある都内最大級のクラブ「バニティ・レストラン・トウキョウ」の経営者が、風俗営業法(風営法)違反の疑いで逮捕されました。逮捕容疑は「飲食店を装って客にダンスをさせた」ことによるもので、2011年以降、同様の容疑で摘発されるクラブが増えています。どういうことでしょうか。 風営法では、ダンスホールや飲食店で「客にダンスをさせる」ことを「風俗営業」と定めています。背景には、戦前にダンスホールが売買春の交渉の場として利用されたことがあり、営業には公安委員会の許可が必要で、午前1時以降の営業は禁止されています。通常の飲食店は24時間営業が可能ですが、「ダンス」が加わると、営業時間が午前1時までに制限されるのです。
住民の苦情を受けて取り締まり強化
風営法に従うと営業が成り立たなくなるため、これまで多くのクラブが無許可で営業しており、警察も黙認してきました。ところが近年になって警察が取り締まりを強化し始めた背景には、繁華街と住宅地が隣接している地域で騒音被害や客同士の喧嘩などが起こり、近隣住民から多くの苦情が入ったことなどがあるようです。また、若者の薬物汚染との関連や防火上の問題点を指摘する向きもあります。 しかし一方で、過剰ともとれる警察の対応について、「風営法でダンスを規制するのは時代遅れ」「ダンス規制は、表現の自由や幸福追求権の侵害」といった疑問の声も上がっており、法改正を求める動きが広がっています。 現在の風営法の問題点について「弁護士ドットコム」では、「風営法が制定された1948年当時は『ダンス』といえば男女が出会うためのツールという側面が強かったが、半世紀以上たった今はむしろ、踊ること自体が目的であり、自己表現の一つになっている」「今では中学校の授業でダンスが必修科目になった。風営法ができた当時とは時代背景が違う。ダンスは十分に市民権が得られており、風俗営業として規制の対象にすべきような業態ではない」(2/25)と、弁護士の見解を交えて指摘しています。