祖母の死後、隠し預金「500万円」を発見しました。もう「相続手続き」も終わっているので、こっそりもらっても大丈夫ですか? 新たに「相続税」は発生するでしょうか?
相続手続きが完了した後、故人の所有していた財産が新たに見つかった場合はどのようにするべきなのでしょうか。また、相続税は発生するのでしょうか。関連する相続税のルールや、具体的な対応について確認していきます。 ▼祖父の部屋から「大量の小銭」を発見! 申告は必要? 勝手に使うのはNGなの?
相続税が新たに課されるかは、ケースバイケース
相続のルールにおいて、相続手続きがいったん完了した後に故人の新たな財産が見つかったような場合は、「訂正申告」または「修正申告」として相続税の再計算と届け出が必要になります。相続の発生(祖母が逝去した日)から10ヶ月以内の場合は「訂正申告」、それ以上の場合は「修正申告」となります。 ただ、すべての場合において届け出が必要になるわけではなく、見つかった財産によって相続税額が上昇する場合のみ、申告をすれば足ります。見つかった財産の金額を算入しても、全体として相続税が発生しない場合は原則として申告の必要はありません(小規模宅地等の特例など、相続税の軽減にかかわる特例を利用する場合は、相続税がゼロでも申告の必要があります)。 相続税が発生するかどうかの基準は、法定相続人の数によって変わります。相続に関する基礎控除額は以下のように計算します。 3000万円 +(600万円×法定相続人の数) 例えば祖母が亡くなった際の法定相続人が、祖母の子2名のみであったときは、 3000万円+(600万円×2名)=4200万円 祖母の遺産総額が4200万円以上あった場合のみ、相続税が発生することになります。 今回のケースでいえば、相続時に計算した祖母の遺産総額が3700万円(4200万円-500万円)を超えていた場合は、のちに500万円の隠し遺産が見つかった場合、相続税の再計算と申告が必要になるということです。 新たに見つかった遺産によって相続税が追加発生する場合は、遅れることなく税務署に申告をしましょう。税務署の調査で申告内容に誤りが見つかって指摘を受けると、修正申告を行うときに、延滞税・過少申告加算税が課される可能性があります。