地震に津波、最強台風、各地で最高気温を更新…自然の脅威突きつけた夏 熱中症搬送は前年比1.6倍 過去最多の人数に 異常な暑さは夏休みの行楽地も明暗分ける 鹿児島県内7、8月
鹿児島県内の7、8月は暑さが際立った。最高気温は33地点中14地点で観測史上1位を更新。肝付町前田では8月9日に県内過去最高の38.5度を記録した。異常な暑さが続き、熱中症搬送者は過去最多になる見通し。観光地は屋外施設が苦戦する一方、屋内施設はにぎわった。日向灘を震源とする最大震度6弱の地震や過去最強クラスの台風にも見舞われた。 【写真】「いるかの時間」にぎわう=2日午後、鹿児島市のかごしま水族館
九州南部の梅雨明けは平年より2日遅い7月17日。梅雨入り(6月8日)からの総雨量が各地で平年を上回る中、太平洋高気圧に覆われる蒸し暑い夏が本格化した。 ■既に1.6倍 7、8月、鹿児島市は35度以上の猛暑日が計39日に達した。33地点の最高気温は肝付町前田をはじめ25地点で35度以上となった。 消防庁によると、県内の熱中症による救急搬送は7月1日から8月25日まで高齢者を中心に1703人。2023年7、8月の1068人と比べ、既に1.6倍に上る。全国の記録をまとめ始めた08年以降で最多となるのは確実だ。 鹿児島市の観光地では屋内施設のかごしま水族館は7、8月の入館者が前年より約7000人増え、屋外施設の平川動物公園は約1万5000人減った。水族館総務課の平野慎一郎さん(44)は「インバウンド(訪日客)の回復もあったが、暑かったので涼しい場所で過ごしたいと来てくれた人も多かったのでは」と喜ぶ。
■自然の脅威 8月8日、南海トラフ巨大地震への注意を促す臨時情報が出るほどの地震が襲った。県内は大崎町で震度5強、志布志市の志布志港で最大20センチの津波を記録した。家屋倒壊や崖崩れなど被害が相次いだ。 月末には特別警報(暴風、波浪、高潮)を伴う台風10号が上陸。枕崎市で最大瞬間風速51.5メートルを観測し、停電が最大22万戸に上るなど県民生活を直撃。当初予想と進路が変わり、速度も遅く影響が長引いた。 8月の鹿児島市で猛暑日に至らなかった5日間の大半は台風接近時期と重なった。今後2週間ほどはかなり気温が高い日が続く見込みで、鹿児島地方気象台は「熱中症に注意し、家畜や農作物の管理に気を付けてほしい」と呼びかけている。
南日本新聞 | 鹿児島