「ことばの魔術師」間近に 「生誕90年 井上ひさし展」開幕 高志の国文学館
高志の国文学館(富山市)の企画展「生誕90年 井上ひさし展 むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをおもしろく」(同館主催、富山新聞社共催)は14日、開幕した。企画展では戯曲、小説、エッセイに打ち込んだ井上さん(山形県出身、1934~2010年)の直筆原稿や創作ノート、書斎道具など208点を通じ、「ことばの魔術師」と呼ばれる創作活動に迫る。 井上さんの妻ユリさんは開会式で、高志の国文学館について、市民が自由に出入りでき、すてきな庭を眺め、大人も子どもも本を読める空間と絶賛し、「『みんなが集う広場が大切』と話していた井上ひさしが大好きな空間だと感じた。そんな場所で開催していただき感謝している」と語った。佐藤一絵富山県副知事があいさつした。式典後、学芸員による展示解説が行われ、室井滋館長らが鑑賞した。 会場には、井上さんの小説「吉里吉里人(きりきりじん)」の創作ノートや、共作で手掛けたNHKの連続人形劇「ひょっこりひょうたん島」の台本、愛用していた万年筆や辞書が並んだ。企画展で紹介する戯曲6作品の舞台映像を上映するコーナーもある。 井上さんは、放送作家をしながら上智大外国語学部を卒業した。1972年に「手鎖心中」で直木賞を受賞した。84年に自作の戯曲を上演する劇団こまつ座を旗揚げし、2009年まで25作品を執筆した。 展示は11月24日まで。観覧料は一般500円、大学生250円、高校生以下は無料。