もっとも衝撃的な結末のホラー映画は? 鳥肌モノのラスト(3)不思議な余韻が魅力…記憶に刻まれる最高の終幕
F・W・ムルナウによるサイレントホラーの金字塔『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)から、異色の「明るいホラー」として人気を博したアリ・アスター『ミッドサマー』(2019)に至るまで、映画史はこれまで数々の名作ホラーを生み出してきた。今回はその中でも、結末が衝撃的な作品をセレクト。内容と魅力を解説する。第3回。※この記事では物語の結末に触れています。(文・ニャンコ)
『サスペリア』(1977)
監督:ダリオ・アルジェント 脚本:ダリオ・アルジェント、ダリア・ニコロディ キャスト:ジェシカ・ハーバー、ステファニア・カッシーニ、ジョーン・ベネット、アリダ・バリ、フラビオ・ブッチ、ウド・キア、ミゲル・ボゼ、ルドルフ・シュントラー 【注目ポイント】 1845年に出版されたトマス・ド・クインシーの小説『深き淵よりの嘆息』をもとに、ダリオ・アルジェント監督が手掛けた本作。超自然的ホラーの金字塔として知られ、日本公開時には「決してひとりでは見ないでください」というキャッチコピーが付けられ、流行語となり、大きな話題を呼んだ。 呪われたバレエ学校を舞台とした本作は、鮮烈な色彩美、不協和音の音楽で観る者を惹きつける。美点は多いが、特に、ラストシーンの衝撃と余韻は他の作品では味わえないものだ。 物語は、アメリカ人留学生スージー・バニオン(ジェシカ・ハーパー)がドイツの名門バレエ学校に入学するシーンから幕を開ける。 ファーストシーンから学校には不気味な雰囲気が漂っており、物語が進展するにつれて殺人事件や怪奇現象が続発する。学校が魔女の結社によって運営されていることに気づいたスージーが、その核心に迫っていく…という筋立てだ。 終盤、スージーは遂に、結社を率いる校長ヘレナ・マルコスの秘密の部屋にたどり着く。そこでは、教師たちがスージーに呪いをかける、怪しげな儀式の真っ最中だった。 スージーとマルコスの最終決戦。スージーは孔雀の装飾に使われていたガラス破片を手に取り、マルコスの喉を突き刺すことで、彼を殺害する。 マルコスの死とともに魔女の力は消える。と同時に、バレエ学校は崩壊して炎に包まれる。命からがら脱出したスージーは激しい雨の中、炎に包まれたバレエ学校を笑顔で後にする。 激しい炎が立ち上るなか、去っていくスージーの笑みがなんとも清々しく、記憶に刻まれる。秀逸なラストシーンとなっている。 (文・ニャンコ)
ニャンコ