ふるさと返礼品の高級魚「タマカイ」が感染症、輸入の稚魚1200匹など殺処分
宮崎県都農町は陸上養殖の実用化に向け、町内で試験養殖をしているハタ科の高級魚「タマカイ」の稚魚が、ウイルス性神経壊死症に感染したと明らかにした。鍋用などとして需要が見込まれる魚で、町のふるさと納税の返礼品になっているが、11月に台湾から輸入した稚魚約1200匹(約217万円)と成魚になっていた約10匹が殺処分されたという。
今月9日の町議会一般質問で町側が明らかにした。その答弁や町によると、稚魚は台湾で養殖され、同町が岡山理科大、NTT東日本、NTT西日本と連携して試験養殖を行っている完全閉鎖循環式の水槽へ11月8日に搬入された。同月中旬に弱った稚魚が複数確認され、県水産試験場の検査で感染が判明した。
町は返礼品調達額の基準超えによるふるさと納税の指定取り消しを経て4月、約2年3か月ぶりの寄付受け付けを再開。成長したタマカイは返礼品の目玉として活用されている。鍋用の切り身300セットについては既に加工を終えていて影響はなかったが、別の水槽で飼育していた成魚約10匹は出荷を取りやめ、殺処分された。
来週以降、順次稚魚を輸入する方針で、順調に成長すれば来年度のふるさと納税返礼品としての取り扱いには影響はないという。坂田広亮町長は取材に「養殖にはリスクがあることを前提に対処策を考えたい。外貨を稼ぐため、今後も6次産業化に向けて取り組んでいきたい」と語った。