福島医大、30年度に新病院 再整備基本構想、本館建て替え
福島医大は30日、付属病院本館(きぼう棟)の建て替えを盛り込んだ再整備基本構想を発表した。福島市光が丘の敷地内に新病院棟を建設し、病院機能を移して2030年度の開院を目指す。県内人口の減少を踏まえた患者数の推計や医療ニーズを見据え、入院病床数は652~716床(現行778床)と想定、集中治療が必要な重症患者向けの「高度急性期」病床や個室病床を増やす。健診設備「疾病予防センター(仮称)」の新設も検討する。 新病院棟は現在の外来駐車場か、1号館がある場所のいずれかに建設する予定で、本年度中に決める。来年度から設計に入り、27年度に着工する予定。現在の診療体制を維持したまま新病院棟の建設を進める。新病院棟への移転後、きぼう棟は解体する方向で検討している。 外来駐車場が建設地となった場合は運動競技場を活用するなどして代替駐車場を設ける方針。 基本構想での入院病床数は、新病院棟とふくしまいのちと未来のメディカルセンター棟(みらい棟)の病床数を合わせた総数。医大が担う高度急性期医療の受け入れを充実させるため、高度治療室(HCU)12床を新設して現在から倍増し、療養環境の向上のため個室を増やす。手術室は12~15室(現行14室)を想定。日帰り手術室は現在と同じ2室とする。 外来患者数は、将来試算を基に1日最大1500人と現在の1日平均1532人と同程度に設定。複数の診療科にまたがる処置室を設けるなど、患者にとって効率的な受け付け、診察、検査、会計の動線を確保する。AI(人工知能)やロボットを組み入れ、医師の働き方改革や患者の待ち時間の解消に役立てる。 きぼう棟は1987年に現在地に移転、開院してから37年がたち、老朽化が見られる。基本構想には医療提供、教育・研究、病院経営の三つの視点から施設の整備方針をまとめている。医大は本年度中に建設場所や病床数を明確にした基本計画をつくる予定で「最先端の医療、教育、研究を追求し、県民に還元し続ける大学病院を目指す」(病院管理課)としている。
福島民友新聞