「初音ミク」も活躍できる『マジック:ザ・ギャザリング』統率者戦、禁止カードの扱いを巡る騒動からルール管理を外部団体からウィザーズ・オブ・ザ・コーストに移管
『Secret Lair x Hatsune Miku: Electric Entourage』にて『聖なる歌姫、ミク』描かせて頂きました! ミクちゃん描けて楽しかったです pic.twitter.com/sV1RXJt2a6 【画像全4枚】 - 風間雷太 RaitaKazama (@kazamaraita) October 1, 2024 近年の『マジック:ザ・ギャザリング』(以下、『MTG』)では、外部のIPとのコラボレーションが盛んになっています。 その中でももっとも日本で反応が大きいのが「初音ミク」で、期間限定で発売される特殊カードセット「Secret Lair」と「初音ミク」のコラボレーションが2024年春・夏・秋に行われており、現在は秋のセットが予約受付中です。 このコラボレーションカード人気の裏にあるのが「統率者戦」の人気です。「統率者戦」は各プレイヤーがお気に入りの伝説のクリーチャーまたはプレインズウォーカーを1枚選択して「統率者」とし、基本土地を除きデッキに積めるカードは各1枚ずつ、計99枚(統率者を含めて100枚)のデッキを作り、初期ライフ40点、通常4人の多人数対戦を行うフォーマットです。後に解説する禁止カードとジョークカードセット、そして統率者として扱えるカードの制限を除き、使用できるカードに制限はありません。 この「統率者戦」はMTGアリーナなどのデジタルゲームには実装されていませんが、お気に入りの統率者カードを「切り札」として使える(コストさえ払えれば自分のターンでいつでも唱えられる。2回目以降の使用はコストが増していく)こともあって、実際のカードで行うカジュアル戦向けのルールとしては(特にアメリカ本土で)非常に人気があります。この影響もあり、『MTG』開発元の「ウィザーズ・オブ・ザ・コースト」(以下、「WotC」)は統率者戦向けの構築済みデッキや、統率者戦向けのカードが多く収録される傾向にある先述した「Secret Lair」を頻繁に発売するようになり、本流のエキスパンションセットにも、統率者戦を強く意識した性能のカードが登場することになりました。 統率者戦を意識し過ぎたあまり、「《有翼の叡智、ナドゥ》は、デザインに失敗しました。」で始まる禁止カード輩出の謝罪文が出されて話題になったりするわけですが……そこはそれ。 統率者戦ルール委員会の禁止カード制定が炎上、今後統率者戦のルール整備はWotCへ移管 【お知らせ】このたび統率者戦ルール委員会にて、統率者戦フォーマットにおける禁止推奨カードリストの更新が行われました。今回そちらの告知内容の翻訳版を掲載いたします。詳細は記事をご確認ください。 #mtgjp - マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) September 23, 2024 統率者戦におけるルール整備はMTGの発売元であるWotCが行っているわけではなく、「統率者戦ルール委員会」と呼ばれる外部団体が行っていました。この委員会が、新たな禁止カードを制定したことから騒動は始まります。 騒動の発端となったカードの1枚目は《魔力の墓所》。痛いダメージを受ける可能性はあるものの、出してすぐマナが加速できる強力なカードです。 そして2枚目は《宝石の睡蓮》。統率者を1度だけ素早く出せるという、使用対象が統率者に限られていることを除けばMTGで最も有名なカードの1つ《ブラック・ロータス》とほぼ同じ性能の強力なカードです。 これらの2枚のカードは非常に強力ですが、「カードをデッキに1枚しか積めない統率者戦では著しく強力なわけではない、他にも統率者戦限定の強力なマナ加速はある」「《宝石の睡蓮》はむしろ《ブラック・ロータス》を統率者戦向けにアレンジした、MTGの正式ルールとは異なる統率者戦ならではのカード」といった声が実際の統率者戦プレイヤーの間から挙がりました。 こうした声は苦情や批判の嵐へと変わり、統率者戦ルール委員会は炎上状態になってしまい、SNSを非公開へ変えた委員会メンバーも現れました。 【お知らせ】先日の発表およびそれに伴う現状を踏まえ、今後の統率者戦フォーマットの管理は、統率者戦ルール委員会からウィザーズ・オブ・ザ・コーストへと移譲される運びとなりました。以降の対応に関しましては、記事内容をご確認ください。 #mtgjp - マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) September 30, 2024 こうした声を受け、2024年9月30日に統率者戦のルール管理が統率者戦ルール委員会からWotCへと移行する宣言が出されました。 外部委員会とユーザー間の認識のすれ違いから炎上が発生してしまった今回の騒動。WotCがどのようにして鎮静化を図るのか、注目が集まります。
Game*Spark ずんこ。