介護の"燃え尽き症候群"は、深刻化する前にチェック...!「すぐイライラする」「孤独を感じる」など具体的な症状を米専門家が指南
そもそも、介護の燃え尽き症候群とは?
愛する人の介護をするというのは大きなやりがいを感じさせる一方で、感情的・精神的・肉体的に容赦なく疲弊させるもの。ウェブスター辞典では、燃え尽き症候群(バーンアウト)とは「通常、長期にわたるストレスや欲求不満の結果として、肉体的または精神的な強さやモチベーションが疲弊すること」と定義。つまり介護者の燃え尽き症候群とは、介護者がこの役割を担うことで精神的・肉体的に疲弊することをいう。
介護者が燃え尽き症候群にかかっているという兆候は?
誰か他の人を介護することに気を取られていると、自分自身の健康への目配りを失いやすくなると専門家は指摘。以下に挙げる「燃え尽き症候群」に陥っている、あるいは陥りそうになっている兆候を見逃さないほしい。 ●休んでも、休んだ気がしない 毎朝、ベッドから起き上がることが今までよりもずっと困難、ソファから腰を挙げる気が起きない、あるいは本当に休息を取ったという感じがまったくしないというのは、燃え尽き症候群に陥っている兆候かもしれないと、エイジング研究と心理学の教授であり、コロラドスプリングスにあるコロラド大学の老年学センター(The Gerontology Center)のディレクターを務めるサラ・クオールズ博士(Sara Qualls, Ph.D)は述べる。 ●すぐにイライラする 自分が限界を迎えると、介護相手にキレてしまうこともあるだろう。それからパートナーにイライラするのはもちろんのこと、子どもを怒鳴ったり、手を差し伸べてくれる友人を突き放したりしてしまうことも。「そのイライラは、介護相手に怒ってしまったという罪悪感によって、さらに大きくなります」と、有資格の臨床ソーシャルワーカー兼ストレスマネージメントのコンサルタントであり、『Streched Not Broken: A Caregiver’s Toolbox for Reducing & Managing Stress(原題:壊れずに伸ばす ストレスを減らし、管理するための介護者の道具箱 』の著者キャロル・リカード(Carol Rickard)氏は語る。 ●健康に問題を抱え始める 「ストレスが介護者の中で積み重なったとき、ふたつの行き場があります。ひとつは怒りや欲求不満で爆発すること。または崩壊して、片頭痛や血圧上昇などの健康障害を引き起こす可能性です」とリカード氏。実際、介護をしていると、糖尿病、不安、薬物乱用、心臓病、頭痛、関節痛などのリスクが高まるという研究結果が出ている。ゴイヤー氏は、自分の背中が痛くなったときに、燃え尽き症候群に陥ったことを実感したと話す。 ●生活の他の部分が崩れ始める 介護者の燃え尽き症候群は、仕事や友人関係、結婚生活、経済面など、人生のあらゆる面に影響を及ぼす。「今、生活はどんな風になっているかを、数年前と比べてみるよう人々に尋ねることもあります」とクオールズ博士。 ●匙を投げたくなる 大きな危険信号は、代替案もなく、愛する人を放置して立ち去ろうと考えている場合だとゴイヤー氏。こうなった時は、自分の状況を大きく変えることを考え、他の方法や選択肢を検討して。 アメリカ心理学会(The American Psychological Association)の研究によると、高齢者の家族を世話する人々は、鬱病、不安、社会的孤立により陥りやすい傾向にあるそうだ。こうした人々は、家族を介護していない人々よりも慢性疾患にかかる可能性も高くなる。 以上に挙げたすべての(もしくはそのうちのいくつかでも)兆候が当てはまりそうであれば、悩んだり躊躇することなく、誰かもしくはどこかに、助けを求める時だろう。我慢するのはやめて、ストレスをコントロールし、燃え尽き症候群に対処するためのヒントを模索する時間をとってほしい。そんな時間はない、と思わず自分の健康を守るためにも、優先順位というものを今一度見直してみよう。 ※本記事は、海外記事の翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事に基づいています。
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