「macぶっこわしとく」会社への“不適切チャット”発覚、促され自主退職も一転…「取り消し」求める従業員に裁判所の判断は
仕事に無関係なサイトを閲覧
X1さん、X2さんの“問題行動”は、チャットだけでは終わらない。 ■ X1さん 飲食店のウェブサイトやプライベート旅行のための宿泊先候補のウェブサイトを閲覧していた。 ■ X2さん 初詣の屋台情報やプライベートな東京ディズニーランド旅行の予約に関するウェブサイトを閲覧。この際、閲覧履歴が確認しづらいシークレットモードを利用していた。
社長がブチギレる
ある日、会社は、社員Aが使っているPCで異常なデータ処理を検知する(社員Aは、上述のように「会社のサーバー潰すわ」とX1さんにチャットしていた人物)。会社が調査したところ、出てくるわ出てくるわ。上述した大量のプライベートチャットの存在が明らかになった。 社員Aはすでに退職届を出しており、2か月後に退職することに決まっていたが、会社からこの件を指摘され即日退職した。
退職届の提出
■ X1さん 社長は社会保険労務士とともにX1さんと面談。社長は「会社のサーバーにウイルスを撒くとか、そういったことを言うてる人をデスクに座らすっていうのは、会社としてリスクが高すぎる」と述べ、社労士は「自主退職しないのであれば、私的チャットや私的メールを1個1個全部調査して処分することになりますがどうしますか」と問いかけた。するとXさんは、自主退職に応じる旨返答。そして退職届を作成して提出した。 ■ X2さん X2さんについては、係長・主任が面談。係長はX2さんに対し「問題行動の発覚を受け、X1さんとAさんが退職した。あなたについても同様の問題行為が発覚していると聞いている。あなたが調査対象となって懲戒処分を受ける可能性がある」と述べ、主任は「あなたは社長からの信頼を失っている」旨告げた。そして、X2さんは退職に応じ、退職届を作成・提出した。
提訴
X1さんとX2さんは、退職届を提出することになった経緯に納得できなかったのであろう。裁判を起こす。両者の主張の概要は「退職届は私たちの自由な意思に基づいて提出されたものではないから退職の意思表示を取り消す。退職の意思表示は錯誤にあたる。退職するよう強迫された」等だ。