新型コロナ禍に振り回される22歳ボクサーの人生…世界戦延期中の中谷潤人が経営難トンテキ店閉店のWショック…「悩んだ末の決断。世界王者になって恩返しを」
中谷の決意は、新型コロナショックにぶれることはない。この間もM.Tジムでトレーニングを続けている。世界戦のプロモートをしている帝拳サイドは、新型コロナが落ち着き国内興行が再開される予定の7、8月に後楽園ホールで延期された世界戦を実現する方向で調整中。中谷は「まだ何も聞いていません」と言うが、スパーリングなどの対人練習は禁止されているなか、来る日に備え、今やれる基礎練習を徹底している。 「ジムを開けてもらって練習はさせてもらっています。ただ(新型コロナの感染リスクを避けるため)対面練習はできなくなっていてミット打ちもやっていない状態です。でも、試合が決まったら、すぐに動き出せる形は整えています。日程が決まったら、そこから逆算して実戦練習を組みたい」 ハンデのある練習環境ゆえのプラス面もあるという。 「練習はマスクを着用してやっているのですが、心肺機能のトレーニングになっていて、そこはアップしているんじゃないかなと思います」 マスク着用で息が苦しくなることが低酸素トレーニングのような効果を生んでいるのだ。後半戦のスタミナに課題がある中谷にとってピンチをチャンスに変える機会でもある。 イメージトレも注意しながら進めている。 「あまり映像を見すぎてイメージを固定すると、相手が違う出方をしてきたときに対応できない。ある程度イメージはしていますが、そこは意識しながらやっています」 対戦相手のマグラモも初の世界舞台。25戦24勝(20KO)1敗の戦績で8割のKO率を誇り、オーソドックススタイルからボディや至近距離からも多彩なパンチを繰り出してくるタフな強敵だ。しかし、スピードはないため、サウスポーの中谷が距離とスピードを生かしてペースをつかめば勝機は十分にある。 新型コロナに人生を振り回されている人たちへ勇気を……フレッシュな新世界王者の誕生でボクシング界に漂う閉塞感を打ち破ってもらいたい。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)