「暴力を振るわれることもある」...「兄貴」が語ったホームレス福祉の現状とは?
アパートに行き、死体を発見し、警察で「事情聴取」を受ける
「あなたは福祉施設でボランティアをする以外に、どんなことをしていますか」と、続けて兄貴に聞いた。 「あとは、不動産屋で独り暮らしのお年寄りのアパートの片付けを手伝うことです。お年寄りの隣人が、『臭いがしている』と不動産屋に報告すると、会社は大体どういうことか分かっていて、『すぐ行って調べてくれ』という知らせが私に来ます。私はアパートに行ってドアを開け、死体を発見し、まず電話で警察に通報してから、『事情聴取」を受けて、警察が死体を運んだ後、仕事仲間と一緒に部屋を大掃除します」 「孤独死したお年寄りの家を片付ける仕事は、15~16回やったことがあります。孤独死した人の中には、死んでから数日が経っていて、死体にウジ虫がいっぱい生えていて、見るに忍びないほど惨めな人もいる。相場としては、このような家を片付けるほうが一般的な家を片付けるよりも3倍値段が高いんです」 それから、私は兄貴のプライベートなことも聞いた。彼は結婚したことがあるが、その後また離婚した。妻は彼が去った後、彼らの息子を産んだ。息子は今では家庭があり、男の子と女の子がいる。兄貴は孫息子や孫娘をかわいがっていて、会うたびにお年玉を渡している。 兄貴は楽しそうに話す一方で、苦々しさもぬぐえない。 「(会うたびに)お金を渡さなくてはいけないのはつらい。私はただの年金生活者だということを忘れないでくれってね」 ははは。誰でもおじいさんになった以上、仕方がないことだけれど、それはつらいだろうと私も言いたい。 次回は兄貴の波乱万丈の人生経験を語る。 文・写真:趙海成 (編集協力:中川弘子)