「暴力を振るわれることもある」...「兄貴」が語ったホームレス福祉の現状とは?
ホームレスの中には「元ヤクザの人もいる」
兄貴によると、2、3日おきに自転車に乗って荒川周辺を回り、自費で購入したコーヒー飲料を用意して、ホームレスを見つけたら、飲み物を渡して話し合う。それで彼らの生活と健康状態の情報を集めるという。 これは基本的にボランティアの仕事だが、政府からなんらかのメリットを得られることがあるのかもしれない。 「福祉施設のスタッフは自分で調査に行かないのですか?」 私が尋ねると、彼はこう説明してくれた。 「彼らはやるべき仕事も多いです。政府に予算を要求する前に、入居したい人は年金をもらっているのか、アルバイトをしているのか、体調はどうなのかなど、詳細な資料を作らなければなりません」 「福祉施設の人もホームレスと直接話をしたいときがあります。そのときは私を呼んで一緒に行きます。彼らは少し恐れているからです。なにしろ、ホームレスの中には元ヤクザの人もいますし、中には3つ、4つの前科を背負っている人もいます。しかし、彼らの過去がどうであれ、今トラブルを起こさない限り、警察は手を出しません。どうせそろそろ土に入る人たちなので、隠れ家で自滅することができたら万事順調ですよ」 このような罪がある人たちは、死ぬまで国の生活保護を申請することはしない。申請をすれば、自分の資料をたくさん提出し、審査を受けなければならないからだ。これは自分で網にかかったことに等しい。 だから施設への入所を勧めに来た人に対し、俺は集団生活を嫌っているなどといった理由を述べて断る。兄貴はその経緯をよく知っていて、彼らと話をしに行ったとき、敏感な話題には触れないようにしている。 「あなたは仕事の関係で、いろいろなホームレスと付き合ってきて、必要な助けを提供してきた。あなたに対する彼らの態度はよいでしょうね?」 「必ずしもそうではありません。私に対し、ののしったり、暴力を振るったりした人もいます。でも、このような人に会っても怖くありません。最初は2回殴られるかもしれませんが、その後は反撃して、すぐに相手を制圧します。もちろん彼らを傷つけないことが前提です。私は自衛隊の特殊部隊出身で、格闘技を学んだことがあるからね」と、兄貴は笑った。 それを聞いた私は、前に出て彼の腕を握って、彼の腕力を試してみたいと思った。やはり筋肉が引き締まっていて、爆発力があるように見える。