“脱税”だけではない…税務調査で「横領」がバレる理由【税理士が解説】
税務調査でバレる横領の事例
税務調査の結果でバレてしまう横領の具体的な事例を以下で見ていきましょう。 【事例1:集金の着服がバレたケース】 A社の担当者がB社へ集金した際に領収書を発行し、その控えを会社に残さず代金を着服したというケースでは、取引先の現金出納帳や領収書などをチェックしたことで横領が発覚しました。A社にはB社から代金を回収したことを証明する資料が残っていなくても、B社へ税務調査を行った際に取引履歴などを資料化し、後日A社の税務調査に活用される場合があります。 【事例2:外注費を水増ししたケース】 友人などと共謀し、自社から外注先へ費用を支払うと見せかけて友人宛てに外注費を支払い、その費用を山分けするなどして横領したケースでは、外注先との間で交わした架空の請求書や領収書をチェックし、外注先の申告状況などを調べた結果、外注の事実がなかったことが判明しました。 外注先として記載されていた氏名や所在地から申告状況を調べた結果会社員であるとわかり、依頼内容などについて質問すると答えられなかったなど、ポイントを押さえて追及していくと横領の疑いが濃厚となっていきます。 ■横領の手口は業種や部署によっても異なる 上記で挙げた横領がバレる事例はほんの一例で、実際の手口は業種や部署、事業規模によって様々となります。建設業など外注が多い企業では水増しもしやすく、仕入を伴わないサービス業であれば集金の着服などがしやすくなるでしょう。個人事業主の場合、実際は外注していないのに架空の外注先を作って経費を水増しする、といった手口も可能です。 税務調査では、こうした様々な手口に対してポイントを押さえて調査を行い、独自のルートを活用して得た情報から分析することも可能なため、横領を隠そうとするほどバレやすくなります。 社内で横領事件が発覚した場合、当事者である従業員が処罰されるのはもちろんのこと、税務上は会社の不正と思われてしまったり、代表者や役員も処罰の対象となり、取引先にも迷惑がかかったりするリスクもあるため注意が必要です。
【関連記事】
- 税務署は、庶民の税金「数万円」さえ見逃さないが…議員の裏金「5億8,000万円」にはそっと蓋。税務調査の赤裸々実態【税理士が解説】
- パパ活女子、手渡しでもらい続けた「月10万円」の“お手当”がバレて…5年後、税務署に課された「追徴課税額」【税理士が解説】
- 私、専業主婦ですよ?…年金暮らしの70歳女性、税務署からの「お尋ね」に困惑→追徴税額2,000万円を課されたワケ【税理士の助言】
- なんで年金に税金かかるんだよ!「年金月16万円・65歳元サラリーマン」の怒りに、年金機構の回答
- 去年は“申告漏れ発覚”のインフルエンサー9人に「合計8,500万円」もの追徴課税…「収益化している人」が税務署にバレるワケ【税理士が解説】