“脱税”だけではない…税務調査で「横領」がバレる理由【税理士が解説】
税務調査で横領がバレるのには、どのような理由があるのでしょうか。多額の横領事件がメディアを賑わせるのを見かけたことがある方も多いでしょう。横領は税務調査でなぜバレるのか? その理由や、横領が発覚しやすい事例などについて税理士法人松本が解説します。税務調査で横領を疑われないための対策についても解説していますので、申告内容についての不安を解消する際の参考としてお役立てください
税務調査で横領がバレる理由
税務調査で横領がバレる理由について解説します。 ■素人ではわからない工作も、プロにはお見通し 横領の事実は、しばらくの内は隠し通せたとしても、どこかのタイミングで必ずバレることとなります。人事異動や組織再編などで風通しが変わってバレるケースや、内部通告などによって問題としてフォーカスされ、社内調査によって発覚するケースなどもありますが、税務調査はもっとも横領がバレやすいタイミングの1つでしょう。 税務調査で横領がバレやすい理由の1つとして、税務調査にあたる調査官は長年に渡り多くの税務調査に携わっているプロである点が挙げられます。 税務調査は、納税者を適正な申告、納税へ導くことを目的として行われています。同じ業種や規模の会社におけるお金の流れや取引の履歴、財務状況についても、間違いや不正がないかを徹底的に調べられるデータベースを持っているため、申告漏れが起きやすいケースや所得隠し、脱税や横領を隠すための手口についても熟知しているのです。この他、第三者からのタレコミなどによって、あらかじめ情報を掴んだ上で税務調査にやって来る場合もあるでしょう。架空発注などで共謀していた取引先が税務調査にあい、そこからバレるパターンなどもあります。 ■こんな資料は横領がバレやすい 税務調査で税務署がチェックする主な資料としては、 ・申告書類:法人税、所得税、消費税の申告書類、源泉徴収票など ・帳簿書類:総勘定元帳、仕訳帳、売掛帳、現金出納帳など ・原始資料:領収書、請求書、預金通帳、契約書など が挙げられます。この他にも、タイムカードや在庫票、会社概要や組織図などの提示を求められる場合もあります。 横領がバレる際には「誰が横領したか」「どこから横領したか」の2点に関する証拠を集めていくこととなります。領収書や発注書を調べただけでは一見わからないように工作していても、実際の入出庫票や棚卸に関する過去の履歴との比較、取引先を訪問した回数や日付、担当者の行動履歴など、様々な角度で複数の資料をチェックすることで横領の疑いが濃厚になっていきます。上記で挙げた税務調査でチェックされやすい資料については、すべて横領がバレるきっかけになり得ると考えた方がよいでしょう。
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