【ボートレース】134期の郷土勢がいよいよデビュー/7日の若松から/九州・山口の新人4人を紹介
ボートレーサー養成所(福岡県柳川市)を3月22日に修了した134期の25人(男子16人、女子9人)が、5月1日から各地でデビュー戦に臨んでいる。九州・山口の郷土勢4人は、5月7日に初日を迎える若松ボートを皮切りに、26日の下関ボート、27日の福岡ボートで晴れの初舞台を迎える。希望を胸にプロの第一歩を踏み出す4人を紹介する。(河野 強)
■香月大輝 父のVに教師志望から転換
教員志望から大転換だ。教育学部に進学し、教師への道を着々と歩んでいた香月大輝の心を大きく揺さぶり、別の進路へといざなったのは、他でもない、ボートレーサーである父・大介の雄姿だった。 2世として、もちろん憧れはあった。小学生時代、文集に書いた将来の夢は「ボートレーサーになりたい」。しかし身近な存在だったからこそ、物心が付く頃には、レーサーになる難しさやレーサーとしての厳しさも理解できるようになり、現実の進路として見据えたのが教員だった。 そして大学に進学。その2年の時だった。芦屋ボートに出走していた父・大介が、実に10年ぶりの優勝。久々の大きな歓喜に少年時代の夢が再燃したのだ。「やっぱり自分もレーサーになりたい」 そう決めると、養成所試験には一発合格。同期生の最年長として訓練を積む姿には、教官も「兄貴分として引っ張ってくれた」と目を細める。リーグ戦でも結果を残し、第3戦は3コースまくりでV。父譲りのパンチ力を見せた。 デビュー後に目指すのは5年以内のA1級昇格。「長年この業界を経験している父がいる。その経験や知識を可能な限り吸収したい」。新たな次の目標へ、同じ2世レーサーの齊藤廉とともに5月7日の若松でデビューする。
■原村百那 会社員から転身の元高校球児
転職先はボートレーサー。スポーツ万能で元球児の原村百那が、社会人3年目の転職活動の際に考えたのが、「両親が喜んでくれる職業に就きたい」。思い浮かんだのが、父が好きだったボートレースだった。 スポーツ経験は趣味も含めて空手、野球、サーフィン、ゴルフなど多岐にわたり、中でも野球は高校時代に女子硬式野球で全国ベスト8。運動神経には自信があった。 しかし、初めて挑戦した試験は不合格。「次で駄目だったら諦める」と臨んだ2回目で合格し、プロへの入り口に立った。合格通知が来たときは、うれしい気持ちと同時に厳しい世界への覚悟も持ったという。 それは、ボートレースの魅力をどう捉えるかについて語る一言にも集約されている。「厳しい訓練を乗り越えた訓練生だけがなれるプロの世界だということ」。実際、真冬の水面での転覆などつらい体験もしたが、「高校で寮生活の経験もあったので」と集団生活は苦にならず、苦労をともにした同期の仲間と晴れてデビューを迎える。 目標は同支部の女子レーサー清水愛海。スピードが自慢の清水のように「魅力ある旋回ができるようになりたい」。持ち前の身体能力を生かし、5月26日の下関でのデビュー戦から、思い描く将来像へと歩を進める。