ホンダ「スーパーカブC100」マフラーから吹き出す白煙の原因も様々 同い年のバイク=スーパーカブと生きるバイクライフ VOL.19
現代技術の転用=モダナイズで白煙対策
そんな「のんびりフィーリング」が楽しいOHVエンジンのスーパーカブC100ですが、マフラーからの白煙問題やエンジンオイルが焼ける臭いは、まったく別問題です。
スーパーカブが発売された当時から1960年代末までは、道路事情が決して良くなく、飛ばし続けることなどできなかった道路環境が多かったと思います。舗装国道から一本路地裏に入れば、未舗装道路が当たり前の時代でした。ぼくが子供の頃も、そんな感じでした。 舗装道路が当たり前になると、スピードレンジが高まり、それと同時に、エンジンにも高性能化が求められます。そんな時代を先取りするかたちで、OHCエンジンのスーパーカブが誕生したとも聞いています。そんな高性能化のひとつに白煙対策がありました。
白煙を吹き出す理由には、ピストンクリアランスやピストンリングの摩耗に起因した「オイル上がり」があります。また、吸排気バルブ周辺部品が摩耗限度を超えてしまうと「オイル下がり」も起こってしまいます。 その他にも、様々な原因がありますが、いずれにせよ「白煙」と「メカニカルノイズ」はOHVエンジンのC100にとっては、ある意味、鬼門だと思います。以前から、お気に入りのC100を見つけ、自ら対峙するときには、何としてでも現代的な考え方で「白煙対策」してみたいと考えていました。
そんな対策アイデアの具現化に対して、力強く、心強い味方となってくださったのが、内燃機加工のプロショップです。ぼくはiB井上ボーリングさんへ相談して「C100エンジンのモダナイズ」に挑戦しました。「白煙」対策といった課題を、ハイレベルに何とかクリアしたいと思ったからです。 具体的な対策方法は、バルブステム径(旧排気バルブ軸の太さ)が同じOHCエンジン用「バルブステムシール」を組み込める=組み込むことができる、シリンダーヘッドへとモダナイズ=内燃機加工します。
バルブステムシールの有無は、オイル下がりをシャットアウトできる決定打であって、現代のエンジンには、必ず組み込まれています。スーパーカブがOHCエンジンへと進化した段階では、排気バルブにのみバルブステムシールが採用されました。 横型エンジンなので、エンジンオイルが流れ込みやすい下側=排気バルブ側にしかステムシールは装備されませんでした。その後、1979年モデルで、C90系エンジンがHA02E型エンジンへと進化したときに、吸入バルブにもステムシールが装備されました。当時としては、スーパーカブの最高峰モデルだったので、同モデルはコストダウンされなかったのだと思います。 そんなOHCエンジンの純正バルブステムシールを、OHVエンジンのC100シリンダーヘッドへ組み込めるように内燃機加工を施し、白煙対策=モダナイズしようと考えています。作業の工程はギャラリーの写真とキャプションを参考にしてください。
たぐちかつみ