50代でほどよく手を抜く「年末年始の過ごし方」。大掃除は玄関と窓だけ、おせちは好物だけ
おせちは習わしにこだわらず、好きなものを和の器で
おせち料理は、自分たちが好きなものだけをつくり、あとは市販のものを織り交ぜています。 とはいえ、「いかにもおせち」という料理ではなく、普通の煮物をお重につめるとか、普段でもたまにつくる煮豚をちょっと豪華に盛りつけるといった形でお茶を濁しています。 料理の内容というよりは、重箱や漆塗りの器など、和を感じる食器によって年始のおめでたさを演出している感覚です。 じつは、個人的におせちの定番である数の子や酢ダコが苦手です。もしもひとり暮らしだったら食卓に登場することはないと思いますが、夫が好きなので毎年購入しています。 夫のおかげで、かろうじて年始らしい彩りの食卓になっているのかもしれません。
特別感を楽しみつつ、なるべく普段と同じように過ごす
実家訪問がなくなったとはいえ、やはり年末年始は特別なもの。この静かなのに華やいでいる独特な空気を楽しみつつも、なるべく日常の休日とかけ離れないような過ごし方をすることを心がけています。 うっかりすると、毎食お酒をいただいて、暖かな部屋でうたた寝するという生活になってしまいがちな年末年始。心がけといっても、暴飲暴食をしない、夜更かしをしすぎたり、朝寝坊をしすぎたりしないといったレベルです。 元日は、明けてすぐに近所の神社へ初詣に行くのが恒例なのですが、年齢を重ねたせいか、初日の出を拝もうという気力はなくなってきました。そんな自分がちょっぴり残念ではありますが、穏やかなお正月を楽しんでいます。
年齢を経て感じる、義務のなかにあったすばらしい思い出
正直なところ、若いころは実家訪問が面倒でしたし、「年末年始の義務のひとつ」という感覚もありました。孫の顔を見せられないことに引け目を感じ、苦しかった時期もあります。 でも、50代になって実感するのは「親との関係は永遠ではない」ということです。 うるさいと感じていた親も弱くなり、順当にいけば私たちよりも先に旅立ってしまいます。ずっとあると思っていた実家も、たたんでしまう可能性もあります。 今は、おいしかった義母の黒豆や酢レンコンのつくり方をちゃんと教わっておけばよかったな、なんて思うこともあります。まだまだ元気な義母なので、たのめば喜んで教えてくれるかもしれません。 大変な渦中にある皆さんは考えづらいかもしれませんが、永遠に続くものなんてなにひとつない。だからこそ、面倒な義務もなるべく笑顔で軽やかに乗り越えてほしいなと思っています。 50代のひとりごとが、あなたの心をちょっとでもラクにすることができたら幸いです。
朝倉真弓