ジャガーが新しいEVコンセプトカー「タイプ00」を発表(海外)
リブランディングを行ったジャガーは、新たなアイデンティティの一端としてコンセプトカーを発表した。 【全画像をみる】ジャガーが新しいEVコンセプトカー「タイプ00」を発表 以前のプロモーションビデオに車の姿が一切見られなかったことから非難の声が上がっていた。 ジャガーは、完全なEV化に向けて、2025年後半に新たなモデルを発表すると述べた。 イギリスの高級自動車メーカー、ジャガー(Jaguar)は2024年12月2日、次世代のEV(電気自動車)のデザインコンセプトを発表し、「活気あふれるモダニズム(exuberant modernism)」というリブランディングのテーマと車両のイメージをようやく結びつけた。 ジャガーのリブランディングはここ数週間にわたり激しい批判を浴びていた。プロモーションビデオに明るい色のファッションに身を包んだ多様なモデルを登場させた一方で、車の姿が一切見られなかったことから「やりすぎだ」との声が上がり、非難された。 そして今回、ジャガーは「マイアミ・アート・ウィーク」でコンセプトカーを発表し、新たなブランドアイデンティティの一端を明らかにした。 このコンセプトカーは、排気ガスがゼロで、ブランドの新たな系譜におけるゼロ番目の車という意味を込めて「タイプ00」と名付けられた。バタフライドアやパノラマルーフを採用し、リアハッチにガラスが用いられていないことなどが外観の特徴となっている。 声明によると、コンセプトカラーは2色展開となっている。ひとつは発表の舞台となったマイアミのパステル調アールデコ建築をリスペクトした「マイアミピンク」、もうひとつは1960年代にジャガーの車両で採用されていた「オパレッセント・シルバー・ブルー」にインスパイアされ、同社のルーツであるイギリスに敬意を表した「ロンドンブルー」だ。 ジャガーのチーフエクステリアデザイナーであるコンスタンティーノ・セギ・ギラベール(Constantino Segui Gilabert)は、声明でこう述べている。 「タイプ00は、過去のすべての最高のジャガー車と同様に、注目を集めている。そのドラマチックな存在感は、イギリスの創造性と独創性というユニークな精神を反映している。アートを称賛し、活気あふれるモダニズムの本質を表している」 車両のサイドには、新たにデザインされた「リーパー」マークが真鍮にレーザーエッチングされており、それが開くと後方カメラが現れる仕組みになっている。 車内の両サイドと中央には、真鍮製の3本のラインが走っている。 中央のラインは、フロントに設置されたダッシュボードの間から現れ、後方まで伸びている。トラバーチンの台座が、そのラインと浮遊感のあるシートを支えている。 2つのシート、サウンドバー、キャビンの床は、ウール混紡生地で覆われている。 チーフインテリアデザイナーであるトム・ホールデン(Tom Holden)は声明でこう述べている。 「外観と同様に、インテリアも開閉可能なテクノロジーを用いたことが特徴となっている。画面はダッシュボードから静かに、そして劇的に滑り出し、収納スペースは必要に応じて静かに開き、隠されていた鮮やかな色彩を見せる」 これらの新たなコンセプトのうち、どのデザイン要素が今後のEVモデルに実装されるかは明確ではない。ジャガーは、タイプ00が「今後の新しい車両のデザイン哲学と意図を示す指標」として位置づけられていると述べた。 ジャガーは2021年に、完全EV化を発表した。そして今回、新しいラインナップの最初のモデルである4ドアEVを2025年後半に発表すると述べた。このモデルはジャガー専用の電動アーキテクチャを採用しており、航続距離は1回のフル充電で最大692km、15分間の急速充電で最大322kmを見込んでいる。 ジャガーはガソリン車の生産を段階的に廃止し、イギリスのヘイルウッド工場を完全にEV生産へと転換しようとしている。それに伴い、イギリスでの新車販売を2026年まで中断するという。 EVラインナップの発売に向けて、ジャガーは11月にリブランディングのキャンペーンを行った。「Jaguar」のロゴの書体を刷新し、「リーパー」も新たなデザインとなった。また、ハイファッションに身を包んだモデルが登場するカラフルなプロモーションビデオを発表した。 だがこのビデオには車が一切登場しなかったことから、SNSや深夜番組、その他のメディアから激しい批判を浴びた。さらに、保守的な著名人の中には、ジャガーがその歴史を捨て、「意識高すぎ」な方向に走ったと批判する人もいた。イーロン・マスク(Elon Musk)もそのひとりだ。 マネージングディレクターのロードン・グローバー(Rawdon Glover)は、フィナンシャル・タイムズのインタビューでリブランディングを擁護し、このキャンペーンで訴えたかったメッセージが「不寛容の炎の中で失われた」と述べた。また物議を醸したプロモーションビデオは「意識が高い」とアピールすることを意図したものではないと語った。 ジャガーはイギリス王室や首相にも選ばれてきた象徴的なブランドであり、その刷新には、新たなデザイン哲学である「活気あふれるモダニズム」の導入も含まれている。ジャガーはこれを「あらゆるタッチポイント(ブランドと顧客の接点)において想像力豊かで、大胆かつ芸術的であること」と定義した。 マーケティングやリブランディングの専門家の中には、ジャガーの新しいアイデンティティを激しく批判する人もいる。
Grace Eliza Goodwin