中国の隠れ債務対策、世界商品市場は失望隠さず-銅や鉄鉱石で売り
(ブルームバーグ): 中国政府から新たな景気対策が発表されたが、世界商品市場は身動きが取れない状態だ。この対策は急務の地方政府債務再編に焦点を絞ったものだが、内需を直接押し上げるような内容には至らなかった。
財政省が8日午後に発表したこの措置は「隠れ債務」借り換えを目的とし、規模は1兆4000億ドル(約215兆円)。ただ具体的な消費喚起策は示されなかった。
こうした規模の大きさから原材料は恩恵を受けるかもしれないが、発表を受け、銅や鉄鉱石、原油相場は軒並み下落した。
キャピタル・エコノミクスの商品エコノミスト、ハマド・フセイン氏はリポートで、「中国から待望の財政政策発表が新たにあったが、しっかりした景気刺激策を期待していた向きにはまた期待外れとなった」と指摘した。
中国が9日発表した10月の消費者物価指数(CPI)はこうした悲観論をさらに深める可能性がある。生産者物価指数(PPI)は2年1カ月連続で前年割れとなったほか、消費の伸びもさえない。
石油や鉄鋼など「オールドエコノミー」の商品需要は今年低迷しており、これら市場は現時点で構造的な下振れ局面にある可能性が高い。
当面、エコノミストやアナリストは今後を見据え占うしかない。銅やアルミニウムなど非鉄金属は鉄鋼や鉄鉱石といった建設資材よりも優位に立つ公算が大きい。一方、食料品や燃料は経済成長加速が正味でプラスに働く見通しだ。原油は脱炭素化が足かせとなるリスクがある。
原題:China’s Economic Rescue Plan Leaves Commodities Stuck on Pause(抜粋)
--取材協力:Katharine Gemmell.
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