キューバ選手の巨人入りが、メジャー市場に与える影響
巨人は、WBCキューバ代表のフレデリク・セペダ外野手(34)と1年、年俸1億5千万円で契約したことを発表した。これは、キューバ政府が、2013年9月に自国選手の海外移籍を容認する方針を示して以来、日本への初の移籍となる。これに、少なからず打撃を受けるだろうと予想されるのがアメリカ、メジャーリーグの市場だ。アメリカは、キューバとの商取引を禁止しており、キューバ政府の「門戸開放」は、実質、“アメリカ以外の”という、“但し書き”がつく。ニューヨークタイムス紙は、「この新制度で恩恵を受けるのは、日本やメキシコ、韓国など制約のない国だ」と報じた。 1959年の革命から2年後、カストロ政権はプロスポーツ制度を廃止した。世界でも、ハイレベルな野球選手はアマチュアという形で強化され、他国でプロになるには、『亡命』という形しかなかった。メジャーでも、多くのキューバ出身の選手が活躍しているが、いずれも、筏やボートで海峡を渡ったり、国際大会の遠征中に逃げ出したりと、危険を伴うだけでなく、亡命後は、2度とキューバに帰ることができず、残した家族に会えないなど、制約を伴ってきた。 今回の新制度で、年俸の20%をキューバ政府に支払うなどのルールはあるものの、政府の許可のもとでプロになれるのだから、精神的、肉体的な苦痛は、これまでのものとは、全く違うだろう。家族と引き裂かれ、命からがらアメリカに亡命する危険を冒すよりも、“合法的”に、日本をの“選択”する選手が出てくるかもしれない。新制度の発足に先立って、2013年6月には、政府の許可を得て、メキシコリーグでプレーした超大物デスパイネ外野手や、そして今回、巨人入りしたセペダ。彼らは、家族と会うことも可能だし、オフにはキューバに戻る。一方、同じく巨人にいるアンダーソンは、2010年に亡命して、レイズと契約した後、日本に移籍したのだから、その立場は大きく違うことになる。