しまむらのクイーンズ駅伝3位に貢献したルーキー鈴木杏奈、「無欲」のエース区間5区2位からマラソン進出も視野に飛躍へ
「もっと意識を高くしていく」と太田監督
太田監督は就任3年目。現役時代、コニカミノルタで3回のニューイヤー駅伝優勝を経験した。 「特に何かを変えてきたわけではありませんが、競技に対する考え方や日常生活など、基本的なことができるようになってきました」と太田監督。「高橋が力を付けて、ほかの選手も引っ張られて記録が上がってきましたね。そこに安藤が加わって、経験を若い選手たちに伝えてくれています。特別なことをするのではなく、練習を継続していくことの重要性がチームに浸透してきました」 それでもまだ、「(トップレベルで)戦う意識はそこまで高くありません」という状態だ。今回のクイーンズ駅伝の目標も、監督としてはクイーンズエイト(次回出場権を得られる8位以内)を目標にしたかったが、余分なプレッシャーをかけたくなかったため「10位」と言い続けた。 「もっと意識を高くして、区間賞や駅伝の上位を狙っていくような意識に、少しずつ変えていきたいですね」 鈴木も今回は無欲で、思い切り走った結果が区間2位になった。太田監督は高橋には、「あと1年くらいで日本のトップに成長してほしい」と期待している。鈴木には駅伝の区間上位で走り続け、マラソンにつなげて欲しいと考えている。 その鈴木も、安藤の影響で自身が変われたと感じている。 「安藤さんはすごいです。競技でも生活でも、こういうときはどうしたらいいですか? と聞いたら、必ず良いご返答をくださいます。私、いつも不安な気持ちでスタートラインに立っていましたが、『別に自信を持って立たなくても、今やるべきことをしたらいいんじゃないか』と言っていただいて、考えを変えられました。競技力が少しずつ上がってきたんです。私にとって良い影響を与えてくれる存在ですね」 安藤の加入で「マラソンを意識する選手が増えました」と太田監督。鈴木も「2年後くらいには」とマラソン進出を考えている。 「速い選手よりも強い選手になりたいです。この試合は良いけど、次の試合はダメということをなくしたいと思っています。安定感がある強い選手になりたい」 実績のない選手が5区でデビューし、そこでの好走をステップにマラソンで日本トップレベルに成長したケースもいくつか見られた。鈴木にもその可能性が感じられた。
陸上競技マガジン編集部