おひつ持ち一歩一歩 ねんねこ祭り、和歌山県串本
和歌山県串本町田原の木葉神社で1日、県指定無形民俗文化財の「ねんねこ祭り」が営まれた。頭におひつを載せたご飯持ちみこを先頭に遥拝所まで一歩一歩ゆっくり進む「朝日遥拝行列」や、子どもらによる「子守神事」、5年ぶりに復活したみこの舞があり、多くの見物人でにぎわった。 【宇宙フェスにぎわう シンポジウムや体験、和歌山県串本の記事はこちら】 五穀豊穣(ほうじょう)、子孫繁栄などを願う田原地区の祭り。朝日遥拝行列は、ご飯持ちみこを務めた下向菜々子さん(田原小3年)を先頭に約30人が列を作り、午前7時ごろ神社を出発。笛や太鼓が鳴り響く中、井谷正守宮司(70)が鈴を一振りするごとに一歩ずつ進み、約1時間かけて拝殿から境内の遥拝所まで歩いた。 本殿では大前の儀の後に、子どもみこによる「浦安の舞」の奉納があった。鈴を持った5人のみこが華麗な舞を披露した。 拝殿の畳の間であった「子守神事」では、井谷宮司がウズラを弓で射る「お弓の儀」に続き井谷宮司と童子による「みかん問答」があり「みかんをくおか、こうじをくおか、さけをのもか」と言い合いながらミカンを上に置いたござを両端から丸めていった。 その後、井谷宮司と御幣差し、童子の7人がござやまくら、乳の形をした袋を担ぎ、子守のしぐさをしながら「ねーんねこ、ねーんねこ、おーろろーんよー」と歌った。平安中期~鎌倉時代に流行した「今様」の奉納もあった。 境内では、田原獅子保存会が遥拝所前で獅子舞を奉納した。 ご飯持ちみこを務めた下向さんは「前からいつかはやってみたいと思っていた。ご飯を持つのが大変だったけれど楽しかった」と話した。 井谷宮司は「天候にも恵まれ、たくさんの方にお参りしていただいて感謝している。5年ぶりに本来の形の祭りが出来たので、この形をできるだけ続けたい。紀南地方も子どもが少なくなっているが、これからもにぎわうよう考えていきたい」と語った。
紀伊民報