「超マシンガン継投」と「超プロスペクト」で勝負も及ばず 侍ジャパン相手に豪代表が残したインパクトとは【プレミア12】
野球の国際大会『プレミア12』のオープニングラウンドが11月13日に行われ、グループBの日本代表は、オーストラリア代表に9-3で勝利。井端弘和監督率いる“侍ジャパン”が開幕白星スタートを切った。 【動画】巨人・井上を攻略した超プロスペクト 豪バザーナの快打シーン 一方のオーストラリアは、一時2点差にまで迫るも、地力の差で及ばずに黒星を喫した。本稿は、そんなオーストラリアの戦いにフォーカスを当ててみたい。 ■前代未聞?の12人継投 先制点を失い、なおも1死一、二塁。先発左腕のルイス・ソープが栗原陵矢を左飛に抑えた直後、デーブ・ニルソン監督が球審に投手交代を告げた。5回や6回の話ではない。まだ初回の話だ。ここからオーストラリアの「超マシンガン継投」が始まった。 計8イニングで12人もの投手が登板――。ベンチ入り14投手のほとんどがバンテリンドームナゴヤのマウンドに向かった。彼らが投げたのは、最長でも1イニング。12人中8人は1イニングに満たない回数で降板した。 NPBでも滅多に、いや、おそらくお目にかかることがないであろう継投策。国際大会ならではの戦術といえる。もちろん相手の策にのまれずにアジャストし、9得点を挙げた侍ジャパン打線は賞賛に値する。 ■MLBの全体ドラフト1位が見せた「片鱗」 戦前に注目を集めたのはトラビス・バザーナ。今年のMLBドラフトで全体1位を受けた、ガーディアンズの超プロスペクトである。 この試合も「1番・セカンド」で先発出場すると、初回先頭打者でいきなりセンター前ヒット。次打者の時にすかさず盗塁を決めた。侍ジャパンの先発・井上温大(巨人)は立ち上がりから抜群の投球を見せていただけに、その能力の高さが際立つ形となった。 バザーナは6回の第3打席でもライトへ安打を放ち、プレミア12デビュー戦を複数安打で終えた。大会を通して全米ドラフト1位の「片鱗」をどこまで見せてくれるか楽しみだ。 ■一発攻勢で度肝を抜く 冒頭で「一時は2点差まで迫る」と書いたが、これは2本の本塁打によるものだった。 5回まで散発3安打無得点に抑えられていた打線は、6回先頭のウルリッチ・ボヤルスキーが井上の初球を叩きバックスクリーン左へソロ。なおも2死一塁で、4番のリクソン・ウィングローブが横山陸人(ロッテ)からバックスクリーン直撃の2ランを放った。 どちらも130m級の特大アーチ。なかなか見られない一発攻勢に名古屋のファンも驚いたのではないか。 このように敗れはしたものの、オーストラリアの戦いぶりは一定のインパクトを残したと言って良い。8強入りしたWBCメンバーが24人もいるというのは、強みになりそうだ。15日からは戦いの場を台湾に移し、まずはドミニカ共和国と対戦する。 [文:尾張はじめ]