2021年に起きた米議会襲撃事件で起訴されたアニー・ハウエルさん＝Public Defender Film 提供

　米東部ペンシルベニア州に暮らすアニー・ハウエルさんは2020年の米大統領選で、民主党候補のバイデン前副大統領（当時）が勝てば、白人である自分の息子の居場所が奪われるという流言を真に受けた。 【写真】被告となったトランプ支持者を追った映画監督カリンさん 　2021年1月6日。支持者を前にしたトランプ氏は、選挙の敗北を受け入れられないと言い張った。扇動された人々は、選挙結果の承認作業を進めていた連邦議会議事堂へと押し入り、暴徒と化した。ハウエルさんは議事堂に侵入し、そこからソーシャルメディアに投稿したことが決定的な犯罪の証拠として残された。 　反乱に加担した罪などに問われると、ハウエルさんは気がついた。それまで聞かされていた「民主党は売国奴だ」などというレトリックについて、「誰かの作り話だと分かったときに、怒りを覚えて裏切られたと感じました」。 　裁判の過程を通じて考えを変えていくハウエルさんら事件の被告の姿は、ドキュメンタリー映画監督のアンドレア・カリンさんが記録。今年、「公選弁護人」としてNHKでも放映された。 　今月中旬、東京都内であった作品上映会にはカリンさんも出席した。トランプ氏の返り咲きには失望を隠さないものの、映画製作を通じて、分断された社会の両端にいる人たちでも理解し合えることが分かったという。「希望を胸に持ち続けなければいけません」 　映画の概要は公式サイト（https://www.publicdefenderfilm.com/）でも紹介されている。【大前仁】