108歳女性「息子を井戸に沈めた」壮絶な子育て 障がいがある娘に「自分でできることは自分で」
「人生100年時代」というフレーズが現実味を帯びてきている。そのために何をしたらいいのか? 世界最高齢現役理容師、108歳の箱石シツイさんの生き方にそのヒントがある。脳性麻痺の長女など2人の子どもを女手一つで立派に育てた秘訣は? 書籍『108歳の現役理容師おばあちゃん ごきげん暮らしの知恵袋』より一部引用、再編集して紹介する。 【写真】箱石シツイさんは昭和11年、20歳の時に理容師の免許を取得。当時の名称は「美容術試験証書」で、管轄が警視庁だった ■井戸に顔を沈めたりしたこともあった 息子には「障がいのある姉を守れるようになってほしい」と思っていたし、男の子ということもあって、娘以上に厳しくしました。取材を受けているときに、「え!? 息子さんを井戸に沈めて叱ったんですか?」なんて聞かれます。「まさか」って思うんでしょうかね(笑)。
その最初のまさかは、息子が4歳のときでした。わたしの父が納戸で作っていたどぶろくを盗み飲みしたときです。たくさん飲んで酔っ払い、あちこち歩き回って赤い顔でわけのわからないことをペラペラしゃべっていたそうです。夕方、近所のおばあさんに背負われて帰ってきました。おもらしをしていたので、庭にあった池に投げ入れて、服を脱がせておしりを洗い、ついでにお尻をピシピシと叩きましてね。「まだ寒い時期で、池には氷が張っていた」と息子は言いますけど、どうだったでしょうか。
それから、「頭を冷やしなさい!」と言って、井戸に顔を沈めたこともありました。沈めると必死で顔を出しては「助けて!」と叫ぶ。これを何度かくり返してやっていました。 噓をついたときも厳しくしました。お使いを頼んだときのことなんですけど、つい、お釣りで欲しいものを買ってしまって、わたしにとがめられるのが怖くて、お釣りを合わせるために親類に借金をしたんですよ、50円。それを「なかなか返さない」と親類がわたしに報告してくれました。
「簡単に人から借金をしたり、お釣りをごまかすような人間になっては困る」、そう思ったわたしは、「ちゃんと叱らなくては」と自分に気合いを入れました。 「ちょっと、お母ちゃんについておいで」と、息子を我が家から少し歩いたところにある小川に架かかる橋のところまで連れていきました。そして、「お母ちゃんに、隠していることない?」と、問いただしました。「50円、おばちゃんにお金を借りたんだってね。どうやって返そうと思ったの?」。しどろもどろになって一生懸命に説明をする息子。「でも、お母ちゃん。僕は盗んだんじゃないよ。お釣りが足らないとお母ちゃんに叱られると思って……」と。返さなければ同じことですよね。そこで「そんな悪い子は、ここから飛び降りて死んでしまいなさい。これからも世間に迷惑をかける人になっては困るから」と言いました。「ひとりで怖いのならば、お母ちゃんも一緒についていくから」と。