仕事にすべてを捧げる、三遠ネオフェニックス吉井裕鷹の熱き思い「試合に勝つ、優勝する以上に自分の欲を満たしてくれるものはない」
三遠を新天地に選んだ理由、「三遠の全部ですかね」
昨シーズン、三遠ネオフェニックスは46勝14敗でチーム初の地区優勝を果たし、初年度の2016-17シーズン以来となるチャンピオンシップ出場を果たした。クォーターファイナルでは広島ドラゴンフライズに敗退と不完全燃焼に終わったが、今オフは躍進を支えたコアメンバーが揃って残留し、即戦力の獲得でチーム力の底上げにも成功した。新戦力の目玉と言える存在が、元NBA選手のデイビッド・ヌワバと日本代表の吉井裕鷹だ。 196cmのサイズと強靭なフィジカル、豊富な運動量を生かし3番、4番ポジションをこなせる吉井だが、これまで在籍していたアルバルク東京ではプレータイムに恵まれなかった。昨シーズンはレギュラーシーズン55試合に出場もプレータイムは10.5分に留まり、1.5得点、1.5リバウンドと突出した数字は残していない。琉球ゴールデンキングスとのクォーターファイナルでは3試合全てでコートに立つことはなかった。 だが、こうした背景があっても、吉井は三遠にとって即戦力の大型日本人フォワードと断言できる。それはワールドカップ2023、パリオリンピックで日本代表の中心メンバーとして世界を相手に真っ向勝負で渡り合ったプレーを見た人たちなら誰もが納得するだろう。三遠では先週に開催された天皇杯2次ラウンド最終日の佐賀バルーナーズ戦でも25分4秒のプレータイムを得て、早速主力の一員としてプレーし、勝利に貢献した。 吉井程の実力があれば、複数のチームが獲得に興味を持っていたことは想像に難くない。その中で三遠を新天地に選んだ決め手は何だったのか。この問いに対し、吉井はしばしの沈黙の後、こう語った。「三遠の全部ですかね。僕に対する熱意であり、バスケの環境、バスケの仕方において、僕が還元できる部分があるなと思って来ました」 この還元については「まだシーズンが始まってすらいないので、何とも言えない部分は大きいです」と言うが、すでに手応えを感じている。「(チームのスタイルは)自分にフィットしている。まだまだできる範囲を広げていけると思っています。これから試合を重ねていってダメだった時はダメになった理由を考えて成長できればいいですし、良いところはもっと伸ばしていけるシーズンになればいいと感じています」 三遠での順調なスタートを切った吉井だが、昨シーズンまで在籍したA東京への感謝も強調する。「これまで4シーズンアルバルクにお世話になって、そこでルカ・パヴィチェヴィッチ、デイニアス・アドマイティスの2人のヘッドコーチ、彼ら以外にも関わってくれたコーチやスタッフの皆さんのおかげで今の自分があると感謝しています。代表で鍛えたトラップにいく嗅覚みたいなところなど、これまでのいろいろな経験を三遠で還元できると思います」