母は79年前に満州を逃げ惑い長男を亡くした ヒマワリに込めた願いは「おふくろと同じ苦労をする人が出ないように」
敗戦前後に満州(現中国東北部)からの逃避行を経験した故川窪高子さんが残した長野県塩尻市の畑で、ヒマワリの花が見頃を迎えた。次男の誠さん(75)らが平和を願って6月に種をまいていた。誠さんは9日、母や逃避行中に生後間もなく亡くなった兄をしのび、世界から戦争がなくなるよう思いを新たにした。 【写真】まいた種から芽を出したヒマワリ。育てた後の種はウクライナの支援活動に寄付へ
畑は約20アール。8月になって一帯の畑を含め約千本が花を咲かせた。ヒマワリ栽培は3年目だが、高さは1メートル前後で、これまでより背丈も花も小ぶりという。それでも誠さんは「おふくろのようにたおやかでかわいらしい」と笑う。
高子さんは1945年1月に満州に渡って夫と暮らしたが、同8月9日のソ連の対日参戦で離ればなれになり、1人で逃げ惑った。誠さんは「おふくろと同じような苦労をする人は、もう出てほしくない」と願う。ヒマワリは市民有志10人で育て、種はロシアの侵攻を受けるウクライナの支援活動に寄付する。