今田耕司とピリついていた番組で気づく…鈴木おさむが語る、とにかく明るい中山秀征の凄さ(レビュー)
その中で、必死にくらいついて、明るくやろうとしている中山秀征を応援していた。「がんばれー」と。 自分と中山秀征が被って見えたのだ。 その中山さんの著書『いばらない生き方―テレビタレントの仕事術―』を読んで、その答え合わせが出来た。 世の中の人のほとんどが「天才」ではない。 残念ながらどの世界にも「天才」はいるわけで、だけど、天才に嫉妬し、努力することで自分にしか作ることのできない位置に立つことは出来る。 僕も天才たちに嫉妬し、自分の立ち位置を作ろうともがき続けて放送作家をやってきた。 だからこそ、この中山秀征さんの生き方にとてつもなく共感する。 センスがないからこそ頑張ってやってきた人への「応援歌」でもあるし、努力でセンスは作られるのだということを証明している。 ダウンタウンやウッチャンナンチャンになれなくてもヒデちゃんにはなれる! 社長にはなれないけど、部下に愛される課長にはなれる。 だけど、部下に愛される課長になるのは簡単ではない。悔しさと嫉妬を血液に入れて努力に変えていくことで成り立つ。 読んだあと、背中をおされる人、きっと沢山いるはずだ。 そして最後に。もう一つ。 この本の凄いところは、芸能界のど真ん中でやってきた人が、俯瞰から自分と芸能界を見ることによって1980~1990年代を中心とした「芸能史・テレビ史」をも語っているところだ。 現在、テレビでは予算が減って、街ブラロケ番組が増えまくっている。 今となっては当たり前だが、確かに「DAISUKI!」が始まった時には違和感を感じながら見ていた。その違和感が心地よさとなり、今の街ブラロケのすべてを作っている。 他にも、今のテレビ番組へつながる数々の方程式が、この本には綴られているため、貴重な「芸能史・テレビ史」の記録になっている故、テレビやメディアに関わる人は必ず読むべき本だと思う。 [レビュアー]鈴木おさむ(放送作家) 協力:新潮社 新潮社 波 Book Bang編集部 新潮社
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