ソフトボール界の未来像は JDリーグ会長に直撃 五輪に左右されない人気づくりへ「選手自身も運営を」
「上野投手と試合をしてもなかなか取り上げてもらえない」
創設3年目のシーズンが大詰めを迎えつつあるソフトボール女子のニトリJDリーグ。今春会長に就任した髙城いづみ氏は浄水器製造大手「タカギ」(本社・北九州市)の社長で、同リーグ西地区のタカギ北九州(同市)のオーナーも務める。2021年東京五輪で金メダルを獲得した後も、人気浮揚に向けて試行錯誤が続くソフトボール界とJDリーグの将来像を尋ねた。(聞き手・構成=末継智章) ■坂本勇人に宇津木麗華さんが神ノック【写真】 ◆ ◆ ◆ ―クラブのオーナーから今春リーグ全体の会長になった。引き受けた経緯は。 「JDリーグの事務局から話があった。悩んだけれども、リーグがこれからどうなっていくのか、メンバーがどういう活動していくのか気になっていた。今まではオーナーという形で遠くから見ていたけど、自分の目で見たいと思い、引き受けさせていただいた」 ―就任から約半年で気付いた点は。 「就任したばかりなので理解はできていないけど、もう少し世の中に認められてもいいのかな、と。サッカーなど女子が活躍できるリーグがたくさんできている中で、間違いなくトップの選手が活躍し、(2028年の)ロサンゼルス五輪も意識している選手もいる。でも北九州でも、たとえ上野由岐子投手(ビックカメラ高崎)が来て一緒に試合をしたとしても、なかなかメディアに取り上げてもらえない。何か問題があるのか、探っている時期」 ―逆にリーグの可能性も感じている。 「現在は選手側と運営側がはっきり分かれている。でも実はタレント性を持っている選手がいっぱいいるし、引退した後もソフトボールのために役立ちたいと思っている人も多い。彼女たちはSNSでどんどん自分たちを表現している。これからは選手や選手出身の人たちがJDリーグを運営できるようになってほしい」 ―プロ野球では選手会が日本野球機構(NPB)とさまざまな課題を協議。女子サッカーのWEリーグもリーグとクラブ、選手が課題解決に取り組むミーティングがある。 「選手たちが自分たちが動きやすくなるように活動している。それが本当の姿じゃないかなと思う。私たちはまだそこまで発展していなくて、運営側に委ねているのが問題。双方からの意見のすり合わせをする時間をつくるべきかなと思う」 ―ソフトボールは2028年のロサンゼルス五輪で再び正式競技に戻るが、その後は不透明。 「オリンピックがあるからやるのではなく、オリンピックはたまたま(正式競技に)入ってきたという感じで捉えたい。例えば私の会社が応援しているプロゴルフだと何百人もいる中で、五輪に出られる選手は数人。でも、自分が活躍できる場所がどこであっても、自分たちが最高の力を出せる場面に感謝して頑張ることが大事だと思う。 われわれのチームも強くないし、地方なので選手も集まりにくいけれども、リーグを支えている。支えること自体で輝くこともあるし、そこからトップへ上がりたいと思う人もいる。それらがみんな同じ方向を向くことで、スポーツは成り立っている」 ―目指す将来像は。 「プロ野球のように、JDリーグが最高峰のリーグだとみんなの認識が統一できれば。米国やオーストラリアも強いのに、それぞれの国内ではソフトボールがまだ認められていない。日本が成功例となれば、世界でも統一の形ができてくるかもしれない。そういう意味で日本が頑張り、選手たちが生きるリーグをつくっていきたい」 ◆地方開催の意義は…次ページ