「浅間さん」で無事祈願 8月の大淀祇園と町内安全 三重・明和町
富士山信仰の伝統行事
三重県多気郡明和町大淀の三世古青年団(辻魁音支部長)は16日午前10時から、大淀で、伝統行事「浅間さん」を執り行い、8月3日に行われる大淀祇園祭の無事を祈願した。 江戸時代に富士山の浅間神社詣でが全国に広まり、当時大淀の漁師たちも「富士講」を組織し参拝登山を行い、帰郷後はほら貝を吹きながら町内を清めて歩いたとされている。 時を同じくして、疫病退散や氏子安全、漁業の発展、五穀豊穣(ほうじょう)を願う祇園祭が始まると、富士講は祇園祭の無事を祈願するものへと変わっていった。地元では親しみを込めて「浅間さん」の愛称で呼ばれている。 この日は、富士山頂の浅間神社に参拝した先達の山中剛さん(41)=大淀=と、辻支部長(24)=同=ら青年団4人が白装束姿で、先達を先頭に竹を担いで、ほら貝を吹き鳴らしながら海岸まで群行。山中さんが船に乗り、担いできた長さ6.5メートルの雄竹を対岸に鎮座する大海(わだつみ)神社前の海中に立てて、祇園祭の無事開催と町内の安全を祈った。 地元の長老によると、今は船で渡るようになったが、大昔は干潮の時に歩いたり泳いで渡っていた時代もあったという。 辻支部長は「今年も祇園が始まったということを改めて実感しました。無事に本日を迎え、事故やけががなく楽しい祭りにしていけたら」と話した。 今年の大淀祇園祭は8月2日に東区で宵宮(よみや)が行われ、同3日に本日を迎える。