アンドレア・キミ・アントネッリ

　メルセデスの秘蔵っ子として今季FIA F2を戦うアンドレア・キミ・アントネッリは、今季限りでメルセデスを離脱するルイス・ハミルトンの後任候補として名前が上がっている一方で、まずはウイリアムズなど別のチームでF1デビューさせることを目指しているのではないかという見方もある。 【動画】7度のF1王者だけど質問ある？　ルイス・ハミルトン、”モフモフなお友達”と共にファンの疑問に回答！ 　これについてウイリアムズのジェームス・ボウルズ代表は、来季アントネッリを起用する可能性は低いと語った。 　現在17歳のアントネッリは、イタリアとドイツのF4でチャンピオンになった後、昨年フォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパを制し、今季はFIA F3を飛び越してFIA F2に参戦することになる。ここでも上々の成績を収めることとなれば、F1昇格がグッと近づくことになるはずだ。 　今季限りでハミルトンがメルセデスを離脱することが決まっており、その後任候補としてアントネッリの名も上がっているが、たとえF2で好成績を残したとしても、いきなりメルセデスというのは少々荷が重いかもしれない。そのため、ジョージ・ラッセルと同じようにまずはメルセデス製パワーユニットを使う別のチームからF1デビューを果たし、そこで結果を残した後でメルセデスに加入する方が現実的ではある。 　ウイリアムズのボウルズ代表は、かつてメルセデスに所属しており、若手ドライバー育成プログラムにも深く関わっていた。そのため、アントネッリのことをよく知っている人物である。しかしそのボウルズ代表は、アントネッリをウイリアムズで起用する可能性は低いと語った。 　というのも現在ウイリアムズは、多くの若手ドライバーを抱えているからだ。今季F2には、ザック・オサリバンとフランコ・コラピントの2人が参戦。F3にもルーク・ブラウニングを参戦させる。そういう状況からしても、ウイリアムズが喜んで他チームのドライバーに経験を積ませるために、シートのひとつを明け渡すとは考えにくい。 「私の観点からすれば、キミがF1に辿り着くことに何の疑いもない」 　そうボウルズ代表は語った。 「彼はジュニアシリーズで、信じられないほどいい成績を残してきた。しかしそれは、彼が必ずしもウイリアムズに加入するという意味ではない」 「私は、若者に投資するのは大切なことだと信じている。しかし、私は功績のある人たちをチームに迎え入れたい。幸運なことに、我々のチームにはF2にふたりの若手ドライバーがいて、F3にもひとりが参戦する」 「実際、今の我々はゆっくりとその階段を埋めているところだ。フランスF4にもひとりいるし、年末までにもうひとりF4に参加するドライバーもいる」 「我々は次世代のドライバーを育成するための懸命なプログラムの構築を始めている」 「トトの場合は、望むような立場にいる。彼は今は最高ではないかもしれないが、グリッド上に幅広いオプションを備えたチームの一員だ」 「だから私の観点から言えば、今後どんなことが起きるのか、それを見るのが重要だ」 「来年はアレックス（アルボン）の契約もあるし、ローガン（サージェント）も契約中だ。それ以外に育成ドライバーもいる。あとは今後6ヵ月で物事がどう展開していくかを見守るだけの問題だ」 　ただボウルズ代表は、アントネッリを高く評価していることも明かした。 「11歳の若いドライバーの面倒を見ている時には、彼が信じられないほど素晴らしいか、あるいは将来優れたドライバーになるのか、偉大なドライバーになるのか、それとも平均的なドライバーになるのかなんて、想像もつかない」 「彼の場合は、F4のかなり早い段階で、順調に成長していることが分かった。当時我々は、何か他のことが起きているのではないかと疑ったほどだった」 　ボウルズ代表は、アントネッリが将来素晴らしいF1ドライバーになるだろうと考えてはいるものの、まだF2での戦いすら始まっていない段階であり、極度なプレッシャーをかけるべきではないとも語った。 　ウルフ代表もこれに賛同。2025年のシートを急いで決めるつもりはないと語った。 「2月のはじめに、ルイスから変化球を投げられた」 　そうウルフ代表は語った。 「来年のドライバーを選ぶ時は、その逆のことをしたいね」 「キミは11歳の時から、我々の育成枠に在籍している。彼が若い段階から成長を遂げ、着実に階段を登っているのを見て嬉しく思っている」 「しかし私は、彼のプレッシャーを少しでも取り除きたい。彼はまだ17歳だ。彼はルーキーシーズンに必要なモノを全て勝ち取ったから、F1に辿り着けると思う。おそらく彼は、F1で非常に成功するドライバーになるだろう」 「しかし彼はまだF2での戦いをスタートさせてもいない。バーレーンでの最初のテストは難しいモノだったが、今後どう成長していくかを見ていくことになるだろう。だからこそ、F1と併催される最初の数レースを見たいと思っている」 「来年のF1には非常に優秀なドライバーがたくさんいる。ラインアップを決める時には、これら全ての選択肢を考慮することになるだろう。でも、それはすぐには起こらないことだと思う」