『福田平八郎×琳派』山種美術館で 意匠性、装飾性に富んだ日本画家の優品を琳派と比較しながら紹介
山種美術館では、2024年9月29日 (日)より、福田平八郎(1892-1974)の没後50年を記念した特別展を12年ぶりに開催する。 【全ての画像】福田平八郎《牡丹》ほか広報用画像(全11枚) 大正時代から昭和40年代半ばまで活躍した福田平八郎は、斬新な色と形を追求した日本画家。故郷・大分から京都に出て、京都市立美術工芸学校や京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)に学び、1919年(大正8)には、帝展に初入選を果たした。福田のデビュー当時から最晩年までの画業をたどる同展では、その作風の変遷が見どころだ。 たとえば彼の初期の代表作《牡丹》(山種美術館蔵)は、徹底した細密描写により写実を極めた妖艶な作品。しかし時代が進むにつれて彼の造形表現は、次第にデザイン的になり、色彩も明快になっていく。絶筆とされる《彩秋遊鷽》(個人蔵)は、抽象画一歩手前の単純化された構図や、ゴーギャンを彷彿とさせる鮮烈な色彩が印象的だ。その他、モチーフの造形の特徴を見事に捉えた《筍》(山種美術館蔵)や、曲線と直線の対比が秀逸な《紅白餅三鶴》(個人蔵)など、初期から晩年にいたる優品を一堂に展示する。 自らの作風を「写実を基本にした装飾画」と語った福田平八郎は、意匠性や装飾性に富んだ琳派の芸術に影響を受けていた。そこで展覧会では、俵屋宗達作と伝えられる《槙楓図》(山種美術館蔵)や、酒井抱一の《秋草鶉図》【重要美術品】(山種美術館蔵)、鈴木其一の《四季花鳥図》(山種美術館蔵)など、琳派の名品も紹介する。近代の福田平八郎と江戸時代の琳派という、ふたつの芸術世界を楽しみ比較することで、福田が琳派から何を継承し、自らのものにしようとしたのかも見えてくるに違いない。 10月19日(土)14:00より、明治学院大学教授で山種美術館学芸部顧問、山下裕二氏の講演会を開催。そのほか、きもので来館した人や、他館との相互割引のサービスも行っている。イベントの参加方法やサービスの詳細は、美術館ホームページで確認を。 <開催概要> 『【特別展】没後50年記念 福田平八郎×琳派』 会期:2024年9月29日(日)~12月8日(日) 会場:山種美術館