祖父が「300万円」を結婚のお祝いに渡してくれるそうです。110万円までなら“非課税”と聞いたことがあるのですが、超えた分は「贈与税」を自分が納めるのでしょうか?
結婚式は本人にとっても家族にとっても大切なイベントです。両親や祖父母から「結婚式の費用の足しに」などとお祝い金を受け取ることもあるでしょう。ただ、あまりに高額な祝い金では「贈与税がかかるのでは?」と不安になる人もいるかもしれません。 一般的に贈与税の基礎控除は年間110万円なので、それ以上のお祝い金を受け取ると贈与税がかかることがあります。では、祖父母から孫へのお祝い金でも納税することになるのでしょうか? 本記事では、祖父母や父母からの結婚祝い金を受け取った場合、贈与税を納める必要があるかを解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
結婚関連費用には300万円の非課税制度がある
贈与税では「暦年課税」と「相続時精算課税」という2つの課税方法があります。いずれも基礎控除額は年間で110万円です。祖父母から孫に300万円の現金が贈与された場合、基礎控除を超えた分の金額に税率をかけて算出される贈与税を納めることが必要です。 しかし結婚費用については、基礎控除よりも大きな金額が非課税になる制度があります。 「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」と呼ばれる制度で、結婚資金については受贈者(贈与を受ける人)1人あたり300万円まで、子育て資金の贈与では1人あたり1000万円までが非課税になります。 祖父母から300万円を贈与されたという今回のケースは「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」の非課税枠に収まっているため非課税です。贈与を受けた孫は贈与税を納めることなく、全額を結婚式の費用などに利用できます。
お金の使い道によっては非課税の対象外になることもあるため注意が必要
「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」で非課税の対象になるのは、「挙式費用・衣装代など結婚披露宴のための支払い」や「新生活のための敷金・礼金・転居費用」などです。 結婚に関連するイベントだとしても、「婚約指輪・結婚指輪の購入」「結納式・両家あいさつの食事会の費用」「ハネムーンの費用」などは非課税の対象外です。 そのほかにも注意点があり、例えば受贈者である孫の前年の所得が1000万円超の場合、本制度は利用できません。 また、当事者間が「結婚費用だよ」と口約束だけして贈与しても非課税にはならないので注意が必要です。 金融機関で結婚・子育て資金管理契約を締結して結婚・子育て資金口座の開設を行い、「結婚・子育て資金非課税申告書」を金融機関に提出することで非課税の条件を満たします。
まとめ
父母や祖父母から結婚費用の贈与を受けても、条件を満たせば300万円までは非課税となる制度があります。ただし、結婚式や披露宴以外の出費には非課税の対象外になるものがあることや、制度の適用を受けるには金融機関で所定の手続きが必要になるなど注意点もあります。 制度を上手に活用して非課税で結婚費用の贈与を受け、結婚式が無事に成功するように資金面の準備を進めると良いでしょう。 出典 国税庁 No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部