新城市無形文化財「立物花火」5年ぶり奉納へ
江戸中期から伝わる伝統行事
愛知県新城市指定無形文化財の八幡神社祭礼用花火「立物花火(たてものはなび)」の保存会は、10月19日の奉納に向けて準備を進めている。新型コロナウイルス禍で中断、5年ぶりに披露する。会員減少に伴い、地元の若手が協力し「八幡神社の風景」を図柄にした仕掛けを作っている。 江戸時代中期に始まったと伝わる。新城藩主らが参勤交代で江戸に赴いた際、両国花火を見て、技術や資料を持ち帰って奉納したという。毎年10月、同市平井の八幡神社の祭礼時の奉納花火として執り行われる。1961年1月に市指定文化財となった。 高さ22㍍の親柱と副柱を立て、これに背板6枚(1枚1・8㍍×3・6㍍)と模様の枠12枚(1・2㍍×1・8㍍)を張る。過去には馬防柵や桜淵公園、秋の宮島などの風景を描いた。東日本大震災時は「がんばろう日本」とメッセージを入れた。 奉納は2019年を最後にコロナ禍で休止していた。その間、高齢化もあり仕掛けを作れる人が減った。今回は祭りの「お囃子(はやし)保存会」の30~50代の7人が協力している。15日には保存会員の指導を受けて枠を打ち付けたり、火薬を取り付ける場所をマーキングしたりした。 今年の図柄は神社の建物と境内の大杉、天狗(てんぐ)のデザイン。6色で表す。1967年と94年にも披露したことがあるという。保存会の澤田和宏会長(58)は「若手の協力を受けてここまで準備できた。来年も協力してもらいたい」と話した。 当日は新城中学校グラウンドで午後7時過ぎから。小雨決行。