円安か円高か?株高か株安か? 少数与党で不安定さ増す金融市場 株価と為替のこれからを識者2人が分析
「政治の混乱が強まり、先行きの政策への不確実性が強まることは、金融市場では株安要因となるだろう。金融緩和継続期待は円安要因となるが、他方で、政治不安を映したリスクオフ傾向は、円高要因となる。この先、円高・株安がスパイラル的に進む可能性もあるのではないか」 ■大統領選後は不安定化 金融市場の波乱要因と言えば、11月5日の米国大統領選挙からも目が離せない。共和党のトランプ氏と民主党のハリス氏のどちらが選ばれるのかに加えて、同日に行われる連邦議会(上院・下院)選挙の行方も気がかりだ。広木さんは、「どちらの候補が大統領になっても、彼らが掲げている政策が実現するかは議会との関係による」と前置きをする。そのうえで、各候補が掲げる政策が実行されるとの仮定で次のように推察する。 「どちらが大統領になっても、インフレは懸念されることだ。トランプ氏の過激な通商政策は関税増に限らず、輸入コスト全般を高めるし、減税も消費を刺激してインフレの要因になる。ハリス氏は住宅政策に力を入れる方針だが、購入頭金の補助などの施策が住宅需要を高め、さらなる住宅価格の上昇を招きかねず、インフレの抑制を掲げながらも矛盾する政策である」 また、いずれが勝っても米国の財政赤字は悪化し、それが長期金利の上昇要因として作用すると広木さんは考える。その結果、インフレと金利上昇によるドル高、あるいは財政悪化とインフレによる通貨の信認低下(ドル安)というどちらのシナリオも考えられるという。 結局、どちらに転んでも前途は多難であるようだ。 「大統領選後も不確実性の高さ(リスクの高さ)から、金融市場(特に為替)では不安定な相場が続くと見ておいたほうがいいだろう」(広木さん) 今後の金融市場を取り巻く環境を四字熟語で表現すれば、まさしく「内憂外患」で、値動きが荒くなる展開も予想される。新NISAで投資を始めた人は、目先の動きに狼狽せず、積み立てを続けたいところだ。
大西洋平