日本で受けられる不妊治療の先進医療はどんなものがある?「不妊症看護認定看護師」が教える最新事情
みなさんは『先進医療』という言葉を聞いたことはありますか? 先進医療とは厚生労働大臣が承認した、将来的に保険導入が期待されている医療技術のことをいいます。そんな先進医療が、実は不妊治療にもあるのはご存知でしょうか。連載最終回は、現在日本で受けられる不妊治療の先進医療についてお伝えしていきます。 山崎夕貴アナ「実は一度、流産していた…。それでも不妊治療を続けようと決意した理由」
先進医療ってそもそもどんなもの?
先進医療とは、厚生労働大臣が承認した、将来的に保険導入が期待されている医療技術のことをいいます。先進医療は一部の医療機関でしか実施できないことから、公平性を鑑みてその技術料は保険診療適用外となっています。 先進医療で注意すべきことは、現時点では先進医療として認められていても、今後も先進医療として継続的に承認される保証はないということです。また、不妊治療の先進医療を受けるには適応する症状や条件があります。その条件に当てはまれば、治療を受けることができます。 《自費診療の先進医療は保険適用の診療と同時に受けられる》 日本では、自費診療と保険適用の診療を同時に行う「混合診療」が基本的には認められていません。ですが、自費診療の先進医療は保険適用の診療と同時に行なうことができます。 これは不妊治療も同じです。2021年4月から不妊治療も保険適用となり、自費の治療を同時に行うことができませんが、自費の先進医療の治療であれば同時に行うことが可能となります。
不妊治療の先進医療にはどんなものがあるの?
2023年2月10日時点での先進医療の主だった10の治療法をご紹介します。
①SEET法
受精卵の着床の準備をする際に、子宮内膜は受精卵からのシグナルを受け取って、着床環境を整えていると最近の研究では考えられています。ただ、現在の体外受精のように胚を移植するだけでは、そのシグナルを送るタイミングがないため受精卵がうまく着床できないことがあります。この状況を改善するために、胚移植の数日前に胚培養液を子宮へ注入し、子宮内膜を刺激することで着床に適した環境をつくる方法が『SEET法』です。注入に関しては人工授精時と同じような仕様で、痛みなどはありません。 SEET法には、自身の胚培養に使用した培養液を使用する「子宮内膜刺激SEET法」と、着床継続を促す情報伝達物質であるGM-CSFを含む培養液を使用する「GM-CSF含有SEET法」の2種類があります。「子宮内膜刺激SEET法」は1採卵で1回の胚移植時のみ実施可能で、「GM-CSF含有SEET法」に回数制限はありません。