就職難の中国、「鉄の茶碗」が若者の憧れ…倍率400倍の狭き門も
【北京=川瀬大介】中国で1日、2025年採用の国家公務員試験が行われた。出願者は約342万人に上り、初めて300万人を超した昨年と比べ約38万人増えた。中国経済の低迷により、若者の安定志向が強まっている。 【写真】中国のSNSに投稿された日本人への攻撃的な書き込み
北京の試験会場では、1日午前9時の筆記試験開始を前に数百人の受験生が列を作った。緊張した表情で、ノートを片手に直前まで復習する姿もあった。
中国メディアによると、25年採用の国家公務員の募集人員は前年比160人増の3万9721人。中国中央テレビは1日夜、実際の受験者は約259万人で平均倍率は65倍だったと伝えた。
背景にあるのは経済低迷に伴う若者の就職難だ。学生を除いた都市部の16~24歳の失業率は8月、今年最高の18・8%に達し、10月も17・1%と高止まりしている。このため、リストラや倒産の心配がなく、安定した仕事を意味する「鉄の茶碗(ちゃわん)」と称される国家公務員が憧れの的になっている。大手求人サイト「智聯招聘」が今夏の大学新卒者を対象に行った調査によると、就職活動では安定が最重要だと回答した人は51・0%となり、前年から10・3ポイント上昇した。
3年働いたIT業界からの転職を目指して受験した女性(26)は「私の希望職種は倍率が400倍ほどに達する。不景気で安定した仕事を求める人が増えている」とため息をついた。