〝貴イズム〟の継承者、大の里が照ノ富士に初勝利で世代交代へ 1991年に貴花田が千代の富士に引導、歴史は繰り返されるか
大相撲夏場所 初日=12日、両国国技館 新小結大の里(23)=二所ノ関=が横綱戦初勝利で世代交代を印象づけた。 【写真】3人掛けの席に付け人と2人で座っていたという元大関 初場所で敗れた横綱照ノ富士(32)=伊勢ケ浜=にすくい投げで完勝。「一度対戦したことがあるので、空気感が分かっていたのがよかった。気持ちも高ぶることなく落ち着いていた。前回は緊張して、このままではダメだと思った。反省を生かせた」と喜んだ。 前夜はゲン担ぎでトンカツを食べに出掛けた。同伴した日体大の先輩で兄弟子の十両白熊(24)は「僕は脂っこいのがあまり好きではないんですけど、大の里が『行きましょう』というので」と苦笑いも、大の里への効果はてきめん。「母の日に勝ててうれしかった」と観戦した両親、妹に初金星をプレゼントした。 夏場所初日の金星で語り継がれるのが、1991年に貴花田(のちの横綱貴乃花)が千代の富士から挙げた唯一の勝利だ。優勝31回の大横綱は2日後に引退を表明し、引導を渡した18歳が角界の主役を引き継いだ。 くしくもこの日は、伝説の一番があった初日と同じ5月12日だ。しかも、どんな思いを込めているのか、大の里は貴乃花の浴衣を愛用。旧貴乃花部屋の関係者から譲り受けた今やレアものを着て、横綱審議委員会の稽古総見などに臨んでいる。 休場明けで完敗の照ノ富士は取材拒否。その心中は察して余りあるが、〝貴イズム〟の継承者によって歴史は繰り返されるのか。 (塚沢健太郎)