全電線25年春闘要求、賃金改善1万3000円以上へ。一時金は年5カ月分以上
全日本電線関連産業労働組合連合会(全電線、中央執行委員長・石橋進一氏)は2025年春闘で、組合員平均として1万3千円以上の賃金改善を求める方針を固めた。24年春闘要求の1万円以上から大幅増額となる。年間一時金については組合員平均で5カ月分以上とした。全電線の春闘要求は加盟各労働組合による要求の指標となる。また今回は独自の新指標「中堅作業者」をベースとした要求額についても定めた。 9日に都内で開かれた「全電線2025年春闘シンポジウム」で要求方針を固めた。シンポジウムは会場とウェブ方式の併用で行われ、全国39の労働組合から執行委員131人が参加した。 挨拶に立った石橋中央執行委員長は「物価上昇に伴う実質賃金低下などで組合員の生活・将来への不安は増大している。不安払しょくへ25年春闘でも賃上げの流れを定着させ、継続して取り組んでいく必要がある」と強調。さらに人への投資を求める重要性などについても言及した。賃金ではこれまでの賃上げの流れの定着や生活の維持・向上、賃金の社会性などの観点から、定期昇給など賃金構造維持分の確保を図った上で1万3千円以上を要求する方針が確認された。これは「近年では非常に高い水準」(全電線)となる。年間一時金は生活保障部分・成果反映部分を合わせて5カ月分以上とした。 また電線産業にふさわしい賃金水準に向け新たに定めた「中堅作業者」モデルについては個別賃金方式で目標水準が35万円以上、全労組が到達すべき到達水準が33万3千円以上、最低確保するべき最低水準を26万6千円とした。「中堅作業者」の定義は担当製造工程などに関する高度な知識・技能を有し、職場で適切な指導力や統率力があり、将来監督者になり得る能力を備えた者。年齢はおおむね35歳を想定している。 25年春闘の要求は来年1月30日に全電線大阪事務所で行われる中央委員会で正式決定する。 全電線は電線・ケーブル産業の産別労組。加盟・準加盟合わせて39の労働組合、組合員約2万7千人で構成されている。